猫から見たK-POP

ガールグループ中心に思ったこと書いてます。

岐路に立つ宇宙少女「Save me, Save you」

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現在のガールズアイドルのトップに位置する、三大企画社を中心とした4強と言われるグループを含めたとしても、最も「豪華絢爛」という称賛が相応しいのが宇宙少女だと思います。

「スター」の名前を冠する社名に恥じない華やかな顔ぶれは、PRODUCE48で有名になったアン・ユジン、チャン・ウォニョンの2人を見ても分かるように事務所の特徴ではないかとさえ思われるほど。そんなメンバーがステージで織り成すフォーメーションは大輪の華を予感させるスケール感があります。

中国出身の3名がスケジュールの都合で不参加ということで、10人体制でのカムバックとなった今回も、その不在を感じさせない従来どおりの絢爛さを発揮して見せています。

しかしそれと同時に今回のカムバ、現在の宇宙少女が向き合っている課題も露わにする活動にもなっていると感じました。

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魔法学校コンセプトを前作から引き継ぐ今作「Save me, Save you」。

劇的だけれど上品に抑制された旋律と、 深い慈しみを感じさせる歌詞が、宇宙少女特有の華麗で気品ある世界を表しています。

そして何より、ガールズグループにおける群舞という点ではおそらくトップを争うと思われるステージパフォーマンスはさすがの一言。10人となったためか、従来のフォーメーション重視の大人しい振り付けよりも個人の動きが重要性を増して、今までにない迫力が加わったように見えました。

これまでの色を継承してひとまず無難なカムバックともいえる「Save me, Save you」ですが、しかし、前述したように宇宙少女が変わらなくてはならないと思う点が気になりました。

大きく2点ありますが、わりと思いきった意見なので、あくまで個人的見解だと言うことをお断りしておきます。

エクシさんのラップが硬直化・陳腐化している懸念

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宇宙少女唯一のラッパーであるエクシさんのラップはグループにとって明確な武器です。端正で幻想的なメロディを特徴にする宇宙少女では、特にそのラップがアクセントとなり曲に緩急をつける役割を果たしてきました。

でもさすがに、毎回その在り方が似すぎではなかと感じています。ラップパートへの入り方と音楽との組み合わせ方がいつも似たような感じで代わり映えしない。トレードマークと言えば聞こえは良いですが、結局展開が読めてしまい、はっきり言うと聴いていて退屈です。そしてこの事は個人パートだけの問題ではなく、曲全体に陳腐な印象を及ぼしかねない危険性も帯びていると思います。

前々から何となく感じていたこの事を明確に意識したのは、同時期にカムバックしたOH MY GIRLとDreamCatcherが原因でした。両者共に宇宙少女と同じくラッパーを一人づつ揃えるグループです。

別記事にも書きましたが、OH MY GIRLのミミさんは今回の「Remember Me」でメインボーカルパートに匹敵するほどにインパクトのあるラップパートを引き受けて、曲全体のイメージを決定付けるような働きをしました。思い切ってラップに脚光を当てることで新たなグループの魅力が引き出され、見事音楽番組一位を獲得しています。

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さらに大事なことは、OH MY GIRLは前作「秘密庭園」では逆にラップパートを完全に無くしてしまうことでも高い評価を受け、同じように一位を獲得したという点です。

そしてDreamCatcherのラッパー・ダミさんは今回ラップ&ボーカルを担当。歌ってます。そして後半では鬱憤を晴らすように力強いラップを披露して曲の勢いを加速させています。

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この両者に共通するのは、メリハリをつけたラップの活用の仕方。今の宇宙少女ではその辺りにあまり気が配られていない印象がある。これでは宝の持ち腐れです。そろそろエクシさんのラップの扱いには思い切った変化が求められていると思います。

ぼやけ始めたグループの輪郭

宇宙少女のステージ映像を見るたびに、いつの頃からか、まずメンバーの人数を数えるようになりました。13なのか11なのか10なのか。当たり前の話ですが、こんなことを気にしないといけないアイドルグループというのはおかしい。

たとえ個々のメンバーで人気の差はあっても、アイドルグループを1人も欠けてはならない集合体として応援するのが、私の基本姿勢です。そしてメンバーというのはコンセプトや曲以前の、アイドルグループとしてのアイデンティティそのもの。

多くいるアイドルのひとつとしてライバル達との差別化を図るのに、まずメンバーを通して自分達のグループとしての輪郭をはっきりとさせるのは何よりも優先されるべきことだと思います。

そしてメンバーが定まらないということは、振り付けや歌のパート分けといったアイドルの「実務」にも関わってくるはずです。このグループには誰がいるのか分からないとと、アイドルを作る人も応援する人も、全員が混乱する事になる。

そうした影響を及ぼしているのが宇宙少女の韓中合同グループという性格です。中国メンバーが本国での活動を本格化させたことで、遂に今回のカムバックは10人での活動ということになりました。

この現状について、あくまで遠くから応援してるだけの唯のファンのひとりとして、私の考えを結論から言わせてもらうと、もう10人でもありなんじゃないかと。

ミギ&ソニの2人に関しては、ロケットガールズと、その後も続くだろう中国活動に専念させてあげるべきだと思います。明らかに韓国にいる時とは桁の違う人気を得ているし、2年もグループを離れた挙句の二人の宇宙少女復帰などと言う事が現実的な話だとはとても思えない。

もし途中で時々戻って来る事があるとして、そんなことが可能だとすればの話ですが、それは今でさえソンソさんの個人スケジュールが宇宙少女に対しての不安定要素になっているのに、それが更に3倍に増えるということ。

中国での個人活動と韓国でのグループ活動に翻弄される3人のメンバーの疲労とスケジュールを管理しつつ、カムバにも間に合わせる。こんな複雑極まりないマネジメントのハンドル、いったい誰が握れるんでしょうか。

「いつか揃うはずの13人の完全体」などというセンチメンタルな言葉でファンと現場の人間を翻弄し続けるのには賛成できません。

そしてソンソさんについて。

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確かに、グループデビューの時から宇宙少女の人気を先導してきたソンソさんの存在はとても大きい。けれども今回のカムバを見て、たとえ彼女であっても必須の存在ではないと感じました。人気もあるし、私も好きなメンバーの1人だけれど、それでも彼女は13分の1に過ぎない。

ボナ・ルダ・ソラ・ウンソ・ヨルムといった、他のグループならビジュアルトップとなれそうなメンバーが宇宙少女には何人もいます。決してソンソさんは絶対的な存在ではありません。

そしてなにより、怪我や病気などではなく個人スケジュールでカムバに参加できないと言う理由は、ちょっと個人的に許容できない。

カムバックというのはKPopアイドルにとっての呼吸・鼓動にも等しいものだと思ってます。

多額の予算と戦略と懸命な訓練を結集してアイドルがその時点で見せられる最高の姿を世間に対して披露する最も重要な、存在の証明ともいえるイベント。その重要性と、掛かるコストから、成否だけではなくそもそもカムバック活動が可能かどうかの狭間でせめぎ合うグループも少なくない。

そんな重大事に、個人スケジュールの都合でトップメンバーのひとりを欠席させることを事務所が決めたということは、果たしてこの事務所は宇宙少女にトップを獲らせるつもりが本当にあるのか疑いたくなる。こういうことはアイドルとして一周も二周もしたレジェンドクラスのアイドルグループになら許されるかもしれないことで、間違ってもデビュー二年半で1位も獲ったことのないグループがやるようなことじゃない。※10.4追記 THE SHOWでドゥケ・公演少女と争っての初の1位。

それに今回の欠席が許されるのなら、ボナさんやルダさんにも個人スケジュールを優先する扱いを認めないとおかしいという話にも繋がる。そうなれば宇宙少女としてのアイドルグループとしての一体性は失われ、まとまりのない、ただの可愛いタレント集団になってしまう。それでも人気は維持できそうなメンバーが揃ってますけど、少なくとも私の興味・関心からは外れます。

ソンソさんに関しては、中国サイドと本人の意向を整理して完全にスケジュール問題は解決するべき。それが出来なければ、そのときには相応の対処が必要だと思います。

宇宙少女というグループ名は、中国メンバーの個人活動に、「アイドルの本場・韓国で活躍してる」という箔を付けさせるための道具ではありません。

 

現在のアイドル界を見渡してみると、デビュー目前のアイズワンは既に高い注目を集め、ブレイク必至という状況です。そうなると宇宙少女への注目度は必然的に一段さがる。更に、女子アイドルを代表する才能となりつつあるソヨンさん率いるアイドゥルは、2作目にして上位争いに実力で割り込んできた。

限られたパイを奪い合う競争が激しさを増す中、グループのメンバーさえ固定できない状況で今までどおりの人気を確保できるのか。個人のタレント活動はグループでの活動という根幹があって初めて成立しているはずで、人気が落ちてくればその活動だって当然影響を受ける。今のままだと、かつての13人時代の輝きの余韻を引きずり続けるだけの存在になりかねないとさえ思う。

市場としての中国が魅力的だということは分かります。しかし大陸はあまりに遠く、険しい。EXOを初めとする多くのグループがそれを経験して、苦い教訓を残してきたはず。しかも宇宙少女の場合、事務所まで中韓で二つに別れているので更に話はややこしい。彼らに現状の理解と将来への展望があることを願います。

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