猫から見たK-POP

ガールグループ中心に思ったこと書いてます。

fromis_9の今。「Love Bomb」

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ドラマに出てくる人みたいに、素晴らしい舞台を見て涙を流すほど感動した記憶などはないけれど、それでもこれは特別な作品だと感じたときに目の奥が熱くなる感覚には何度か覚えがあります。

fromis_9の最新作「Love Bomb」は僅か3分のステージでありながら、終わったときには一篇の小説かドラマを終えたような感慨が残る、ひとつの体験といってもいいかもしれない。そしてこの感覚こそアイドル、そしてKPopの舞台に私が望むものです。

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ティーザー画像にて明かされた作曲家陣の名前を目にしてから、かなりの期待を抱いていた「Love Bomb」。

その名前とは、「Knock Knock」「CandyPop」作曲のMayu Wakisakaと、「Heart Shaker」作曲のDavid Amber&Sean Alexander。TWICEの他にも多くの有名KPopアイドルの曲を手がける方々でもあります。

上記のメンバーが、ひそかにTWICEのために暖めていた曲を今回fromis_9が強奪してきました、というような噂があったら信じてしまいそうなほど、最初に聴いた時はどこかTWICEっぽさを感じました。言い換えると、トップアイドルのタイトル曲だとしても不思議ではない風格を感じたとも表現できます。

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しかしこの曲が、繰り返される「ラパパン」の中毒性に留まらずに美しい旋律へ昇華しているのは、あのOH MY GIRLの名作「CLOSER」も手がけたSean Alexanderが参加しているためでしょうか。

楽しさ・華やかさで突き抜けて行くのではなく、そこから一歩退いた奥行きと広がりを感じさせて感動へと誘うところがfromis_9と「Love Bomb」だけのオリジナリティーであり、その存在を特別にしている要素だと思います。

コミカルなイントロから始まり、明るく楽しいメロディと軽快なラップを行き来しながら、最終的には感情を震わせる大団円へと向かう「Love Bomb」の姿にはfromis_9だけでなくKPopの現在地を示すインパクトさえ感じました。

 

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更にfromis_9といえば、プレデビュー曲「Glass Shoes」からずっと続く、劇的で可愛らしい振り付けの数々はもはや代名詞。今作も華やかで見るものを飽きさせない可愛らしく爽やかな群舞を披露しています。

前作とは違い9人の完全体となったfromis_9が、真紅の衣装を身に着けて舞う様子はその魅力を余すところ無く発散していて眩しいくらい。

特にチャン・ギュリさんの笑顔弾ける様子が堪えられないくらいに可愛い。チウォンさんとのZOOM、ZOOM、ZOOM!も可愛い! 

チェヨンさんの堂々とした赤毛とか一番イメージを変えてきたジホンさんの金髪とか、それぞれのビジュアルもレベルアップしててとても華やか。

ひとつひとつの振り付けや、それぞれの繋がり、展開のさせ方や緩急のつけ方などが楽曲の良さと相乗効果を生み出していて、ただただ目を奪われる「Love Bomb」。「DKDK」の時も感じましたが、fromis_9は振り付けとフォーメーションの組み合わせがホントに素晴らしい。

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思えばfromis_9は、自前の育成システムを持たない韓国メディア界の巨大ブランドCJ E&Mが、「アイドル学校」というオーディション番組を軸にして結成させたアイドルグループです。芸能事務所に所属していない、言わば在野のアイドル候補生を集めて作り上げられた、アイドル業界におけるひとつの挑戦の形。

そんなグループの置かれた状況を、韓国で少し前に流行った言葉で表現すると、おそらく「金のスプーン」ということになるかと思います。豪華作曲家陣による完成度の高い楽曲と、それをステージで表現する群舞の華やかさ、メンバーの可愛らしさや衣装の出来までも含めて全てが垢抜けてる。いずれもプロデュースする側にそれなりの体力がなくては出来ない仕事ぶりです。

こうして投じられるエネルギーを見てみると、fromis_9を取り巻く環境にはかなりの野心を感じさせるものがあります。SMを筆頭とする三大企画社を正面から相手にするような気概を感じるといってもいいほど。

しかしそんなfromis_9にとって唯一の誤算は、そもそものスタートだった「アイドル学校」がテレビの成績的にコケてしまった事。自社の大成功例であるPRODUCEシリーズとはきわめて対照的な残念な結果となってしまった。

大事なプロモーションが失敗した形になり、SMやJYPといった分かりやすい大手事務所の看板もないため、確かにデビュー直後はアイドルの群れの中に埋没していた印象はありました。

しかし前述のようにそもそも地力のあるグループ。デビュー以来優れた楽曲とパフォーマンスを積み重ね、PRODUCE48で人気を得たチャン・ギュリさんの合流などの良い流れが出来つつあった、そんな中でのカムバック。早速音源チャートに顔を出すなど、fromis_9の着実な成長と現在の勢いを示すものになっていると思います。

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最後に付け加えると、今回の曲はパート分担がわりと均等だったのも良かったと思います。ツインボーカルの2人だけではなく皆それぞれがセンターに立って歌声を披露する機会が頻繁にあって、「私たちは9人でfromis_9!」ということを全体で表現しているような印象を受けました。チャンギュリさんを再び迎え入れたことも、余計にそう感じさせる理由かもしれません。

また、最終盤のソヨンさんパートから始まる一連の流れのクライマックス感が凄くて、上記のような事を勝手に想像していたこともあり、fromis_9解散しちゃうの?とか、7年間ありがとう!みたいな錯覚を覚えました。ちょうど紙吹雪も舞ってるし、スローモーションが始まってしまうのかと思った。

あと、やはりチャン・ギュリさんの屈託のない笑顔を見ると、ほんとに戻ってきてくれて良かったと感じます。

 

いま私が「KPopのガールズアイドルとは」と聞かれたら、迷い無くfromis_9と「Love Bomb」の名前で答えるでしょう。

今回のカムバック、美しさと可愛らしさで王道をゆく素晴らしい出来でした。

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