猫から見たK-POP

ガールグループ中心に思ったこと書いてます。

IZ*ONE前夜に思う

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プロデュース48は本当に面倒な事をしてくれた、という気持ちが少しある。

アイドルという文化を好きになりブログを始めるまでになったけど、私の対象はあくまでお隣韓国の、いわば外国の音楽としてのKPopだった。

洋楽好きと邦楽好きが意識せずに住み分けるように、私も日本のアイドルには関心ないままKpopアイドルの楽しみを平和に享受していた。しかしあの番組のおかげでそうもいかなくなった。

このブログでもさりげなく触れてきたように、私はAKBに対して結構な違和感を感じている。「総選挙」システムや大規模な握手会に代表されるようなあの世界の全てが私の理解を阻む。ひらたく言うとアイドルとして何をやってるのか全然分からない。

同じアイドルという言葉を掲げる謎の世界からやって来た3人が、大注目のKPopアイドルグループに加わる。穏やかだった私のKPop風景に異彩が加わり、やがてひとつの懸念が生まれる。

果たして自分はあの3人を好きになれるのか。

 

正直に言って、3人ともプデュ48の放送を通してあまり印象に残らなかった。最後まで「あぁ、AKBの人達だな」っていう、そんな感想しかなかった。嫌いとかそういうんじゃなくて、ただなんとなく何も無い感じ。日本のアイドル一般に感じるもの。

何も無いというのが一番良くない気がする。なので3人について考える時間を増やしていった。矢吹さんや宮脇さんについて考えて、よく分からない文章を書いてみたりした。宮脇さんのゲーム実況を覗いて見たり、地元・栃木でモンブラン食べてる本田さんの映像を見てみたりもした。

アイズワンについて考える事は、3人について考える事とほぼ同じになっていった。しかしいくら考えても頭で考える以上のものが生まれない。心が動かない。

そうこうするうちに、やがてアイズワンの宿舎映像が公開された。そこには二段ベッドが置かれていた。

 

KPopに関心を持つという事は二段ベットを再発見することでもある。ファンの方には同意してもらえる考え方だと思う。まさか自分でも成人してからこんなに二段ベットを目にする機会が増えるなんて思いもしなかった。

それくらいKPopアイドルが宿舎に置いてある二段ベットで寝ている姿は当たり前の光景だ。売れて個室に移ることはあっても、ほとんど全てのアイドルが二段ベッドを経由しているはず。

つまり二段ベッドで寝ているアイドル=Kpopアイドルだ。

そして今、宮脇・矢吹・本田の3人も二段ベッドに寝ている。狭くて不自由で窮屈なはずの二段ベッドに、現役アイドル3人が寝ているのである。総選挙第三位も二段ベッドに寝ているのだ。

彼女達は既にKpopアイドルなのではないかと思い始めた。

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日韓合同のグローバルアイドルグループを作るという触れ込みで始まったプロデュース48だったが、本格的に活動を始めたIZ*ONEの姿から伝わる実態としては、日本の現役アイドル3人が韓国芸能界に挑戦しているという構図がより正確のようだ。二段ベッドはその象徴に見える。

BTSに代表されるように世界に対して空前の勢いを見せ付けているKPop界に3名の日本のアイドルが挑もうとする姿を見ていると、時折スポーツ界で繰り広げられる日本人選手の海外挑戦というおなじみの光景を思い出す。言葉も生活習慣も異なる環境への挑戦という意味で、とても良く似ていると思う。

KPopアイドルへの挑戦、それはつまり総選挙も握手会もないアイドル世界(サイン会はあるだろうけど)への移籍を意味しているとも言える。同じ職種でありながらも異質な世界への旅立ち。

やがて3人が二年半の期間にわたりアイズワン専属になるというニュースが伝わった。

news.kstyle.com

この報せは更に強い印象を与えた。完全に他の9人と足並みを揃え、同列に立つという意気込みを感じた。日本でのアイドルとしての退路を絶ち、韓国で再スタートをきるという決意を見た思いがした。3人の輪郭が見え始めた。

 

メンバー合同の宿舎で二段ベッド生活を行っている姿はかなり訴えるものがあったが、やがてそれ以上の光景を目にする事になった。

それは3人がクンジョルと呼ばれる韓国特有の礼儀作法を、日本人が土下座とよく見間違うあの動作を他の9人に混じって行っている光景だった。向こうのアイドルにとっては珍しくもなんとも無い行為の中に、日本の3人が加わっている景色。

なぜだか分からないけれど胸を突かれる思いがした。

多分私には夢想家の性質があると思う。これは単に向こうの生活に馴染もうとするひとつの行為に過ぎないというのも頭では分かる。

でもあの短い映像を見たときに、アイズワンが及ぼすかもしれない可能性の射程は、思っていたよりもずっと遠くへと延びている気がした。

しかし、一方で危惧も生まれる。

TWICEの日本人3人とか俳優の大谷亮平さんなど、日韓交流の架け橋になって下さいという言葉をかけられている有名人を時々見かける。

言葉をかける側に悪気が無いのは分かるけれど、結構いい加減な行動だなと思う。どんなに有名な人でもひとりで橋は架からない。良くて人柱になるだけ。そんな重荷を個人に背負わせるのは良くない。こうしたことは一人ひとりが石を運ぶしかない仕事だと思う。

でも世間はいつしか国際交流のシンボルとしての視線をアイズワンにも注ぐかもしれない。あるいはその視線が逆転して、アイドルとして受ける一般的な反応を超えるような反響を受けるときが来るかもしれない。もともと有名なだけ、TWICEの3人とはまた受けるプレッシャーは異なるものになるはず。

でも、だから軋轢を恐れるべきとは思わない。あの12人はそうした日韓の間にわだかまるものからずっと先に行くという願望を込めた予想をしたい。

 

そういえばリアリティ番組の放送を通して宿舎の部屋割りが明かされたとき、気になる光景を目にした。

プロデュース48放送当時、最終的に12人に選ばれることになる韓国側参加者の一人が、日本のネットの一部でいわゆる歴史議論に巻き込まれるという小さな騒ぎがあった。彼女は日本人に対して含むところがあるんじゃないかという疑いをかけられていた。

そんな彼女の姿が6人と6人で分けられた2つの宿舎の、日本人3名が集まった側にあった。この組み分けには意味があると思いたい。

国籍や国家といった大きな言葉は時におぼろげだったり、信用ならなかったりするもの。奔放に個人を振り回したり、気が付かないうちに人の心を勝手な色で塗りつぶしたりもしてる。

そうしたものより私は、人間一人ひとりが唯それなりに別々の存在だと信じる自然で単純な感覚を持っていたい。

そう考えると本文の最初のほうでIZ*ONEを日本と韓国のアイドルに分けて、宮脇・矢吹・本田の3名を異彩と表現したのは半分間違いだったかもしれないと思い始めている。

正確には、IZ*ONEにあるのは12の等しく異なる色彩。そしてデビューアルバムタイトルは「COLOR*IZ」。

12の色が調和して表現される光景がどのようなものになるのか、それは2年半という時間を通して明らかにされることだと思う。その中で日本人3名への印象がどう変化するかはまだ分からない。でも、その事をむしろ楽しみだと感じ始めている。

そしてIZ*ONEの12人に、日韓だけでなく世界中から拍手が送られるようになることを期待したいと思う。

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