名前は知ってるけれど特に思い入れは無い。そんなグループがある瞬間に印象を一変させ、自分にとって特別な存在になる。
アイドルを追いかけているときに、ごく稀に経験できるこの感覚が好きです。
昨年8月に「Puzzle Moon」でデビューしたばかりの公園少女が3月13日に発表した「Pinky Star」は、自分にとってそうした大事なきっかけになった気がします。
優れた音楽と良く統率された振り付けで魅せつつ、ありきたりのアイドルコンセプトに逃げることなく、軽やかさと神秘性の間を自在に行き来するステージからは、グループ初のカムバにして「これが公園少女」とでもいうべき刻印のようなものが透けて見えます。
このグループは、韓国を代表する大衆音楽作曲家として有名なキム・ヒョンソク氏が代表を務めるキウィメディアグループが送り出した初のガールグループ、という紹介のされ方がよくなされています。
前作・今作と直接にアルバムを手がけるようなことはないようですが、そうした環境もグループの完成度に影響を与えているだろうと思わせる、公園少女は音楽というものを中心に置いてとても丁寧に気を配られたアイドルという印象があります。
既に12曲のレパートリーを持つことから分かるように、2枚のアルバムは質・量ともに高い水準で揃えられている上、サブ活動曲は当たり前で、特に前作ではデビュー曲含め3曲に振り付けを用意するという仕事ぶり。そのいずれもタイトル曲に劣らない出来栄えでした。
ちなみにそうした中で私のお気に入りは前作の収録曲「Melting Point」です。洗練された幻想性という公園少女の一面に特化した完成度だと思います。
そんな公園少女のメンバーは全部で7名。年齢順に見ていくとまず静岡出身のメインダンサー・ミヤさん。この芸名は本名である宮内からとられているそうです。
グループ全体を見たときに、おそらく真っ先に目に飛び込んでくるそのビジュアルはf(x)のエンバに例えられることが多い中、韓国のウェブにおいて天海祐希の名前が引かれているのを見つけた時はなんか面白かったです。
その独特な雰囲気に関わらずデビュー曲においては歌パートらしきものがなく、本人の普段の声がわりと特徴的なことも併せて、このグループは今後どのようにミヤさんを位置づけていくのかとひそかに案じていました。
ところが今作ではダンスにラップにと完全にパズルのピースが嵌まったような活躍で、そんなミヤさんの姿を見て公園少女の今後が確かなものになったとも感じています。
デビュー時点では無名だったメンバーがほとんどの公園少女にあって唯一、「PRODUCE101」のシーズン1へ参加していたという経歴をもつのがキム・ソギョンさん。
個人練習生として参加しながらAランク評価を得るなどして番組終盤まで活躍し、視聴者に存在をアピールすることに成功。そして番組終了後にめでたく現事務所へ移籍したとのこと。
160cmに満たない小柄な体格ながらメインダンサーを務め、今作ではミヤ&ミンジュと共にダンスブレイクパートを担当しています。
チームのメインボーカルを務めるのがキム・ソリョンさん。
最初に見たときはどことなく赤頬思春期のアンジヨンさんに似ていると思ってましたが、外見だけでなく高いボーカルスキルまでも共通していました。本当に歌が上手。
上記のソギョンさんと1センチの差でチーム内最小。 共に160に満たない2人がグループを実力面で支えるというのがすこし面白い。
下の方で紹介するミンジュさんと故郷が同じ、韓国の南端にある馬山合浦区。
グループで唯一芸名を用いるANNEさん。アンと読んでしまいそうですが、韓国語ではエンと発音するようです。本名はイ・ソヨン。
「Pinky Star」の舞台は彼女で始まり彼女で終わることから分かるように、今回のカムバで最も目立つポジションにいるのがエンさん。
見た感じの通りに捉えどころの無いミステリアスな雰囲気の持ち主で、そんな彼女が赤髪のロングでデビューステージに立つ姿は少しアンバランスかなと思っていました。
それが今回は前髪をそろえたポニテという正統派ヘアスタイルに変わることで、彼女の魅力がより分かりやすく伝わる結果になったと思います。
つい先日高校を卒業したばかり。
続いてカン・ミンジュさん(18)。
特に派手なプロフィールや個人技を持っているということもなく、ルックスを見てもなんか普通の韓国美人という印象ですが、166cmという長身から表現されるダンスには迫力があり、ステージが始まると自然と目で追ってしまう魅力があります。
とても明るい性格で皆から愛されている様子が、Vアプリなどから伝わってきます。特にミヤさんに懐いている感じが見ていてとても微笑ましい。
あと個人的にミンジュ&エン&レナの三名を公園少女のフィジカル三大将と呼びたい。
台湾出身のメンバー・ソソさん(18)。本名は王靖儀。
宇宙少女のソンソさんとは名前だけでなく顔も似ている上に、体がとても柔らかいという特技まで同じ。
現状では歌やダンスというスキル面よりも、そのビジュアルが醸す雰囲気でチームに貢献する感じのようです。「Pinky Star」でも落ち着いた愛嬌でステージにアクセントを加えています。
余談ですが、ツウィさんを始めとして台湾から韓国に来たアイドルは今のところ全員可愛いような気がします。台湾すごい。
最後に、末っ子が最長身というKPopグループのジンクスを踏襲しているカン・レナさん(16)。169cm。
モデル並みのスタイル&ルックスということで、デビュー当初は公園少女の中心的なイメージを担っていたレナさん。 個人的にもちょうどアイズワンで盛り上がっていた頃だったので、その若さ&高身長という共通点からウォニョンさんとイメージが重なるようなところもありました。
今回「Pinky Star」では他のメンバーに一歩譲るようなポジションに収まっていますが、普通にしてても目立つ彼女が少し控え目になることでグループ全体としての完成度がより一層高まったように感じられます。
末っ子ながらメインボーカルも努める才色兼備でもあります。
以上のように公園少女を褒めれば褒めるほど、よく今までスルーできていたなと我ながら不思議なんですが、その言い訳を考えてみたら彼女達がデビューした2018年9月5日という日付に理由があったのではと思い当たりました。
この頃といえばPRODUCE48の放送が終わったばかりで、いまだその冷めない興奮の中にあり、IZ*ONEの結成そしてラヴィアンローズでのデビューと華々しく続く展開に夢中で、それほど有名ではない新人グループに強い関心が向かなかったというのが正直なところでした。
おまけに公園少女に前後してNATUREやDREAMNOTEと言った、なんとなく似たポジションにいるガールグループが続けてデビューしたことも、彼女達への認識をあやふやにさせた原因のひとつだったと思います。
そんな中でかろうじてこのブログで触れていたのがミヤさんの独特の存在感と、デビュー曲がf(X)ぽいとかいう適当すぎる感想でした。
しかし今にして思えば、公園少女の端正かつ緻密な姿はデビュー曲「Puzzle Moon」の時点ですでに明らかになっていて、続編という位置づけの今作はその本質を順調に継いだものだということが分かります。
そして、ありがちなアイドルイメージで安易に妥協することなく、自分達だけの魅力を表現することに成功しているという意味で、デビュー曲が一瞬f(x)と比べられたことには実は象徴的な意味があったのかもしれないと今では感じています。
大手芸能事務所所属でもなく、特に有名なメンバーがいたわけでもなく、おまけに何か手の込んだデビュープロモーションを仕掛けたわけでもない。
そんなグループがステージへの誠意と熱意で存在感を示すという展開には王道的とも言える迫力があり、このような頭角の表し方をした先輩グループといえば男子ではBTS、女子ではGFRIENDが思い浮かびます。
こうした名前はあまりに大きな存在であることは承知の上ですが、しかし公園少女を彼らと同じ様なアイドルとしての可能性を持つ存在として扱う事には全く違和感を感じません。
色々書いてきましたが、少々遅れつつも公園少女の魅力に気付く事が出来て良かったと思っています。そして、こうした優れたグループが思いがけず出てくるところがKPopシーンの面白いところだと改めて感じました。