猫から見たK-POP

ガールグループ中心に思ったこと書いてます。

あるアイドルの退場に思う

KPopと直接関係がある話ではないし、書いてて楽しい内容でもないんですが、それでもこの件に関しては触れておかないと次に進める気がしない。

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一貫して騒動の被害者でありながら、彼女を守るべき大人達からあべこべに疎まれ、無視され、時に非難すらされた挙句、結局は卒業という形で追い出されることになったひとりのアイドル。

被害者として救済されることなく舞台を去ることになった彼女の残影は、決して新潟の一アイドルグループの不祥事に留まるものではなく、広く運営母体そのものに対する批判の声を呼び起こしています。

衆人環視の元で進んだ日本の最大手アイドル運営による目を覆いたくなるような不手際の連続は、日本アイドルシーン全体に負の影響を及ぼす可能性すら想像させるほどに信じがたいものでした。

 

今回の一連の騒動を通して私が強く感じたのは、彼らはアイドルビジネスの中心に関わる立場であるにもかかわらずアイドルとファンを愚弄し、更にはアイドルというものが存在する光景そのものまでも蔑ろにして見せたということについての憤りです。

舞台上からファンに向けて歌や踊りを披露するだけでなく、アイドルは普段の姿においてまでも周囲の期待にこたえようと努力と献身を重ねます。

時としてプライベートでのあり様にまで及ぶアイドルとしての熱意の示し方については色々と意見のある部分ですが、ファンからの期待を理解した上でプロとしてそれに応えようとする姿勢そのものはきちんと評価されるべきだと思います。

ファンがアイドルに見出す魅力としては舞台での技術や容姿を含め幅広いものがあると思いますが、上記のような姿勢自体をファンである自分達への誠意であると受け止め、評価することで更に忠誠心を高めていくという面も大きいと思います。

誠実にアイドルであろうと努力する人と、そんなアイドルに歓声を送るファンの関係はこの世界の根幹・原風景と言っていいかもしれない。

このような世界に裏方として重要な関わり方をする人々は、誰よりもアイドルの身近にあって、彼・彼女らの努力と献身のあり方を理解し、その先にある理想と可能性を信じて支えるべき役割を持つはず。

ところが、そこに込められた情熱を軽視し、あまつさえ馬鹿にするような振る舞いをするアイドル運営があるとすれば、それは彼らが行っていることがアイドルを中心としたビジネスではなく、単に若い女性の容姿を利用して視線を引き付けるだけの金儲けだと理解するべきではないか。

そう考えると、今回の卒業に至る動きは自然な流れに思えてきます。

そこにはアイドルが敬意を受けながら活動できる場所など始めからなかった。

誠実にアイドルであろうとする人があべこべに汚名を着せられて去ることになったということは、そこがアイドルグループの名前を騙る別の何者かの集合に過ぎなかったということを意味しているのではないでしょうか。

彼女は正しくアイドルであろうとしたがゆえにあの場所に留まることは出来なかった。

一連の騒動で交差した双方の言動を振り返ると、つまりはそういうことだったのだろうと思います。

 

更に、日本のアイドルビジネスの中心人物とされる人々が見せた信じがたい振る舞いは、現在の日本におけるアイドルシーンの風向きの変化を考えたときに、その将来に対して無視できない影響を与える可能性があると思います。

いま日本で盛り上がっているKPop人気は少女達の視線を西、つまり韓国へと向けさせている。

そんな彼女達の視線を導いた大きな存在の一つであるTWICEは、アイドルとして尊敬されて舞台の上で輝くということがどういうことかを、先日大成功のうちに終了したドームツアーにおいて象徴的に示すことになったと思います。

そしてTWICEの所属事務所である韓国のJYPは「Nizi project」なる日本人アイドル発掘プログラムを近々開始する予定であると伝えられていて、アイドルを目指す日本人へのKPopサイドからの本格的なアプローチはもう始まっている。

少女達は西を目指す。KPopファンである私はそれでもいい、というかむしろ大歓迎です。道のりは厳しくても、アイドルとして誠実であれば、成功と共に敬意を勝ち取れる真っ当なチャンスが向こうにはある。

しかし日本でアイドルビジネスに関わる人達はそれでいいんでしょうか。

今回の不祥事はひとつのアイドル運営会社が引き起こした出来事ではありますが、他の有名アイドル事務所もこの一件に関してなんらかのリアクションを取るべき重大さを持つとも感じます。

KPopが放つ眩しい輝きとは残酷なまでに対照的な日本型アイドルへの幻滅は、日本におけるアイドルという言葉に深い傷を負わせ、そしてアイドルとファン双方に背を向けさせる恐れすらある。

もし「彼ら」のやろうとしてきた事がアイドルという「夢」を搾取するだけの持続可能性の無いその場限りのお金稼ぎだとするなら、こうした顛末は彼らにとり痛くも痒くもないことなのかもしれない。

でもアイドルとファンが中心となって作る世界の可能性を信じる人々がもしこの業界に存在するなら、決して対岸の火事として見過ごすことなく、いま「日本のアイドル」を守るべく、声明のひとつでも出すべき状況なのではないかと考えます。

 

最後に、私はIZ*ONEの韓国側運営が日本活動におけるパートナーを再考することを希望します。たとえそのせいでこれからアイズワンの日本における活動に大幅な変更が加わることになっても個人的には構わない。それ以上に守るべきものがあると思うからです。

アイドルの努力と献身を正しく理解し、尊重することの出来る人が、何より仲間を守ろうとする姿勢を持てる人間のみが、あの12名とウィズワンたちが共に作る世界に携わるべきだと思います。

たとえ言葉は分からなくても、自身に対して敬意を払わない人間の態度というのは伝わるもの。アイドルを、というより人間をないがしろにして何の痛痒も感じない人々にあの12人と仕事をして欲しくない。不快な思いをさせたり、悪い影響を与えて欲しくない。

少し話が逸れますが、PRODUCE48を通して顔と名前を覚える事になったひとりのアイドルが、今回の騒動における関係者の1人として挙げられているのを知った時は正直戸惑いました。

プデュの過酷なステージへ向かう懸命な姿を聞き知っていた自分としては、始めのうちは濡れ衣ではないかとも思いました。しかし本人・運営も含めて明確な釈明がなされることはなく、結局はそういうことかとあきらめるしかなかった。

しかし私は今でも、彼女がまるで残酷な二面性を持つような劇的な性格の持ち主である、などとは思ってません。

「朱に交われば赤くなる」「孟母三遷の教え」の言葉の通りであるとするなら、まだ若い彼女のそうした振る舞いは今回の騒動の舞台となったあの特殊な環境から強い影響を受けたからだと考えるのが自然だと感じています。

プデュでの苦労を思い出しながら涙を見せた姿を知る者としては、いつか彼女が今の環境に見切りをつけて、自分自身を見つめ直す時が訪れて欲しいと思います。

アイドルというのは時間と空間を強く管理された状況下で生活する人々です。ある種閉ざされているともいえるその環境をどのように整えるか、どのような人間を周囲に置くべきかは若い彼・彼女達の将来に与える影響を考えれば、どこまででも慎重になるべきだと思います。

そして繰り返しになりますが、IZ*ONEは十代を中心としたグループであり、一番若いメンバーはいまだ中学生です。今からでも遅くは無い、ビジネスとしての一時的な利便性のみに囚われて組むべき相手を間違えず、最も守るべきものは何かを理解して正しい決断を下して欲しい。

そしてアイドル世界の周縁をうろつく一人のファンとして、アイドルの真剣な努力が声援によって報われる光景は当たり前のことであって欲しいとも思います。