猫から見たK-POP

ガールグループ中心に思ったこと書いてます。

Rocket Punch「BIM BAM BUM」で鮮烈なパンチ

先日8月7日、KPopアイドル界を代表する中堅事務所であるウリム・エンタテイメントから、Lovelyz以来およそ5年ぶりとなるガールグループ・Rocket Punchが誕生し、デビュー曲「BIM BAM BUM」が早速好評を得ているようです。

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落ち着いたイントロから歌なしのサビに至る1番を聞く限りでは最近流行りのKPopサウンドかなと思わせつつ、それが2番に入ると大きく景色が変わり、急に歩調を早めて駆け出すように爽やかなコーラスに繋がる劇的な展開が清々しく、とても印象的です。

舞台でのパフォーマンスも手の込んだことを見せ付けるというよりは純粋に前向きな姿勢が表現されていて、見ていて素直に応援したくなるグループだと感じました。 

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PRODUCE48にも出演していたキム・ソヒさん(15)。大人しそうな外見ですが「海東剣道」という剣法の使い手でもあります。

 

タイトル曲を手がけているのがGFRIENDで有名なイギヨンペだということで、一瞬Rocket Punchはカラフルでダンスミュージック寄りのGFRIENDかも、という感想が浮かびました。

これは少し安易な喩えかなとも思いましたが、繊細で瑞々しい曲の雰囲気や6名という人数だけでなく、舞台における懸命さや溌剌とした積極性、それに年齢性別を問わずに受け入れられそうな清潔感も共通しているようにも見えて、先輩が辿った成功への軌跡まで似たとしても不思議ではない気がします。

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リーダーのキム・ヨニさん(18)。特徴的な目元と髪色が漫画「だがしかし」に出てた人に似てる。さっぱりした可愛らしさを振り撒いていて、異性・同性関係なく好かれそうな雰囲気があります。


2019年という年はプデュ48の出演者が事務所に戻ってデビューを開始するタイミングで、また有名グループの妹世代がぼちぼち誕生し始める時期でもあり、今年に入ってからそのような特徴を持つグループが複数デビューしています。

Rocket Punchもまさにそのひとつなんですが、その中にあって彼女達を特別にしているのが、他でもない元AKB・高橋朱里さんの存在なんだと思います。

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言わずと知れた元AKB・高橋朱里さん。その存在感でデビューしたばかりのグループの知名度を一気に引き上げています。既に韓国語での意思疎通に不自由を感じさせないところがすごい。

 

プデュ48での活躍で韓国国内でもファンを獲得した彼女の電撃的なAKB卒業&ウリムへ移籍しての新グループ参加という3月のニュースは、それだけでRocket Punchにとって最高のプロモーションにもなっていました。

ショーケースでも大きな歓声を浴び、「BIM BAM BUM」のステージにおいてもサビの盛り上がりへと繋がる大事なトリガーのような役割を演じていて、公式的にも推されていると感じます。 

 

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ソヒさんと同じくウリムからPRODUCE48に出演したキム・スユンさん(18)。他の5人が全員160cmくらいの身長で揃っているなか、一人だけ170近いスタイルの持ち主。

 

話は少し逸れますが、ちょっと前にプデュ48でカン・ヘウォンさんとの交流で名前を知らせたAKB佐藤美波さんが、インタビューの中で「将来の夢は声優になることです」と答えているのを見て意外に思ったことがありました。アイドルとしての現在は本人にとってどういう位置づけなんだろうと意表を突かれた感じでした。

でも同じくプデュ48に出演していた武藤十夢さんも「気象予報士になるのが目標です」みたいなことをプデュ後に別の場所で話してた事を思い出し、こうしたことは別に珍しいことではないことに改めて気付きました。

卒業、という言葉が当たり前に使われる日本のアイドルシーンは、自らを成長させる時期、結果だけを求められるわけではない期間、つまり芸能人生におけるまさに学校のような役割を果たしているのかもしれません。

そこでは現実の学校と同じように、自分の席は期間限定のものでしかなく、時が来れば他の誰かに明け渡し、グループという名の教室の光景は定期的に変わるのが当たり前。

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チョン・ダヒョンさん(14)。2004年生まれなので、あのIZ*ONEのウォニョンさんよりもさらに1歳幼いということになります。つまりふつうに現役の中学生です。子供……?

 

KPopアイドルに親しんでいる人間としては、そうした日本アイドル特有のシステムには少々馴染めないところはあります。

唯一無二のグループの中に、自分だけの居場所を持って仲間と共にアイドルキャリアを駆け抜けるKPop式のほうが、個人的には感情移入しやすい。

でも今回の移籍劇を可能にしたのは高橋さんがこうした学校的な特徴を持つグループにいたからというのは間違いないでしょう。

そう考えると今回の動きは日本型アイドルのセカンドキャリアとして、あるいは「学校」卒業後の進路としてのKPopアイドルという道があることを、日本のアイドル界全体に対して証明して見せた画期的な意味もあるように思います。

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ソ・ユンギョンさん(17)。公開されてからTWICE・ツウィさんに似てるという声をよく聞きます。Rocket Punchは以上の6名で構成されています。

 

そして大きな決断と言えばそれは事務所の方も同じで、日本の現役アイドルを自社の柱となる新グループに迎え入れると決めたウリムエンタは、当然メリットだけでなく、昨今の混乱に見られるような日韓に特有のデメリットまでも考慮していたはず。

そのうえで高橋朱里さんと共にKPopと日本アイドルシーンの関わり方を次の段階に引き上げる勇気ある決断をした結果、韓国のファンは世間的に難しい状況の中で高橋さんを含めた6名に対して歓声を送っている。

そしてRocket Punchは早速音源チャートインに成功し、MV再生回数にアルバム販売量で好調な滑り出しを見せ、今年デビューしたガールグループとしてはあのTWICEの妹分・ITZYに次ぐ成績を収めつつあるようです。

日本と韓国の間で政治が発端になった混乱が高まっている最中であるだけに、大衆の力が作り上げるポップカルチャーにおいてRocket Punchが見せた目覚しい成果は一層鮮やかなものに映ります。

 

このロケットパンチという変わったグループ名は「退屈な日常に向かって新鮮なパンチを放つ」という意味だそうですが、確かにその名前の通り、彼女達は画期的なメンバー構成と鮮やかなステージでもって2019年夏の今、胸のすくような一撃を放つことに成功しました。 

そして何より個人的には、素直に追いかけて行きたいと思えるグループがKPopシーンに新たに誕生したことが嬉しく、一人のKPopファンとしての寿命が更に延びたような気がしています。

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