猫から見たK-POP

ガールグループ中心に思ったこと書いてます。

言葉から眺めるIZONE。「Oneday」

6月にソウルから始まった初のコンサートツアーが先日ようやく終わりを迎え、日本シングル活動も終息し、長く続いた怒涛の過密スケジュールがようやくひと段落着いたように見えるIZONE。

ファンとしても一息つけるところですが、なんだか不意に現れた空白地帯に入り込んだような気分でもありました。

そんな時に手元に届いたのが、韓国で発売されたIZONEの写真集「Oneday」。

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アイドルだけではなく、映画や放送など大衆文化全般に対する評論で有名な韓国のWebである「iZE」が、今回IZONEとコラボして生まれた本です。

いわゆる日本で予想されるアイドル写真集の形とは異なり、淡い色彩と静かな華やかさが写真から巻末のインタビューにまで満ちている、そんな一冊になっています。

特にそのインタビューがよその媒体では見られないだろう12人の率直で真摯な言葉を引き出していて、写真集なんですが個人的にはこちらのほうがとても印象に残りました。

ここではその中から特に気になった数名の言葉を取り上げたいと思います。

 

「IZONEでなくなった私達は現在のようには愛されないかもしれない。だから今は皆が幸せであって欲しい」

ウンビ

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過去に別グループでデビューするも脱退&再び練習生へ戻るという、KPopアイドルとしての挫折を知る彼女は、リーダーとしてIZONEの中で求められる仕事が一番多い人なんだと思います。

このインタビューではその気遣いの一端を率直に語っていて、その具体的な内容に一番興味を惹かれました。

慣れない異国の生活の中で不満を口にせず、どこまでも我慢を重ねてしまうナコ&仁美の姿に心を痛める様子や、そんな2人とリーダーの間を取り持とうとするクラオンニの勇姿が透けて見える箇所などは、特に印象深いエピソードでした。

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そしてイメージとは違い、傷付きやすく繊細なユジンさんの個性を理解して接してあげようとする話など、先日のVLIVEでの光景を思い出すと特に感慨深いし、でもそのユジンと、あとイェナの2人はやはり予想通りのムードメーカーで、すぐ疲れるけど回復速度もその分速いという説明は面白かったり。

そんな読みどころの多いインタビューの中で一番残ったのは冒頭の言葉でした。

「愛」という言葉はKPopの世界において人気とか応援の意味で使われます。ここで彼女はとても率直に、IZONEの解散後に訪れるかもしれない人気の変化に触れている。

今現在どんなに人気があっても、それは永久に続きはしないというこの世界での鉄則は、もちろん彼女達にも当てはまるはず。やがてメンバーそれぞれが次のステージに立ったとき、そこから上手くいく人いかない人の違いはきっと生まれてしまう。

そうした現実から目を逸らすことなく、アイズワンとして存在している今のうちにやりたい事は全部やっておこうとメンバーに語りかける彼女の姿は、皆の将来までにも気を配る、まさにリーダーそのものなのだと思いました。

 

「普段からあまり泣かない性格で、どんな事でも一人で我慢するタイプです。やりたいことがあれば何としても成し遂げようと努力してきました」

 チェウォン

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一見すると「サンム妖精」のフワフワした可愛らしいイメージからは距離を感じる言葉です。更に「練習で叱られてもそれを克服しようとしてきた」「ストレスを受けることすらも成長のための機会」といった力強いコメントも。

カメラの前でアイドルとして微塵の隙も見せないチェウォンさんこそが、IZONEで最も大きなアイドルパワーの持ち主だと個人的に思っているのですが、上記のような言葉を聞いてみると、それは持って生まれた才能と努力の双方が結びついた結果なのだと思いました。

彼女の言葉は職業としてのアイドルという生き方に誠実に向き合って、これからも更に上を目指していくという力強い宣言のようにも聞こえて、更にあの可愛らしさを裏打ちしている厚みと迫力のようなものも感じました。

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ちなみに一番頼れる人・自分を見ている人として、同じ事務所の先輩でもあるリーダー・ウンビさんの名前を挙げているのですが、二人で共に「IZONEの人気にも初心を忘れないようにしよう」として話し合ったという話も明かしています。

こうして見るとIZONEの中で特に強い絆を感じるウリムズの2人ですが、事務所が同じでも練習生時代はそこまで親しくなかったという、前にチェウォンさんが語っていたエピソードが自然と思い出されて、そこはなんだか感慨深い。

 

「歌は私の人生に現れた光」

ユリ

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インタビューを通してアイドルになるまでの半生を短く振り返ることで、その内容が最もドラマチックになっていたのがユリさんでした。上に挙げた発言にそれが象徴されています。

複数の教室を掛け持ちしてまで追いかけたピアニストの夢を、クラシック特有の経済的負担からあきらめることに決め、それと引き換えるようにして歌に生きがいを見出して、苦労の末に釜山からソウルへとやってきた自身の葛藤と努力を飾らない言葉で語っていて、その率直さと熱意がとても心に残りました。

ピアノに続いて歌という夢まで失う怖さから「ここで駄目だったら、もう」という後がない覚悟で参加したのがPRODUCE48。それだけにIZONEの舞台へ立つことへの格別な想いが、冒頭の言葉と共に読む側にも伝わってきます。 

そして元々はこのように思いつめてしまう真剣な性格が、プデュを通して共に支えあったメンバーのおかげでとても温和になったという話や、最近はまたピアノを弾くのが楽しくなってきたという言葉は、インタビューに穏やかな余韻を残しています。

 

ここで取り上げたのは以上の3名ですが、全員のインタビューにそれぞれの個性がきちんと表れていて、「称賛よりも労わりの言葉が聞きたいときもあります」というウォニョンさんや、「アイドルは終わりのない職業」という矢吹さんなど、心に響く言葉が全体に散りばめられていました。

そんな12の発言全体を通して眺めてみると、皆が質問に対してはっきりと正面から自分の言葉で答えようとしている姿が共通していたように思います。

そこにはいわゆる若いアイドルらしい照れやはぐらかしのような態度は無くて、あくまでアイドルとして生きている一人の人間が、広く外の世界に対して自分という存在を説明しようとする真摯な姿勢が伝わってきます。

自分の人生に正面から向き合ってる人の言葉、とでも言うんでしょうか。斜に構えるのでも、自分以外の誰かの振りをするのでもない、真剣で真っ直ぐな言葉は人の心に届きます。

やはりIZONEは言葉で表現してもIZONEなんだと思えた一冊でした。