猫から見たK-POP

ガールグループ中心に思ったこと書いてます。

JYPと私たち

Nizi Projectから選ばれた9人でデビューの決まったNiziU、正確にはまだプレデビューの段階にもかかわらず物凄い反響のようで、昨年からのJO1の人気なども思い出すと日本のKPopシーンが新しいフェーズに入ったような、そんな気がします。

 

Nizi Project大成功

オーディション番組としてのNizi Projectも、過度に参加者を追い込んだり競わせたりすることなく、一人一人が努力して輝く姿を素直に見せることで、視聴者が安心して応援できる作りになっていた点も良かったと思いました。

5年前にTWICEを生んだ「SIXTEEN」にしろ、社会現象にまでなった「PRODUCE」シリーズにしろ、KPopの代表的なオーディション番組と言えば参加者が受けるプレッシャーと視聴者の満足度が比例すると信じて作られたようなところがありました。

でもNizi Projectはこうした番組と比べて穏やかで低刺激な内容でありながら、みんなの心を掴んで大成功してしまった。

日本と韓国の視聴者の好みの違いはあるにしても、この事実は今後のKPopオーディション番組の方向性に影響を与えることがあるかもしれない。 

 

そんな番組を成功に導いく上で欠かせない存在だったのが、プロデューサーであるJ.Y.Parkことパク・ジニョンでした。

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現役の歌手であると同時にアイドルプロデューサーでもある彼の、参加者の成長を信じる真摯な言動が視聴者の心をつかみ、番組の人気を助けたことは多くの人が指摘していることです。

個人的に彼の存在感を象徴していたと思うのが、参加者の当落を決める決断を、全て彼自身が表立って行うという番組の仕組みです。

メンバーの選抜と出来上がるグループに関してはプロデューサーとしての自分が最終的に責任を持つと示すこの姿勢が、Nizi Projectに一本の芯のようなものを通して、アイドルオーディションとしての番組全体に説得力と真実味を持たせていたように感じました。 

余談ですが、この辺は今ちょうど放送中である、BTSのBIgHitが手掛けるオーディション番組「I-LAND」でのパン・シヒョクの、参加者とほとんど関わらない、ほぼ同じ画面にも入らないような傍観者的なポジションはかなり対照的だなと思ってます。

 

JYPへの異論

Nizi Projectの放送を通して、その発言が語録扱いされるまでに視聴者の心をつかみ、今や芸能人の間でも普通にJ.Y.Parkの名前が出てくるまでになったパクジニョンの人気ぶりはNiziUほどではないにしても凄いものがあります。

しかし注目が集まれば集まるほど、逆に気になる点も目についてしまうことは仕方がないのかもしれない。

例えばNizi Projectの最終回でメンバーに合格を告げる際に、「たくさん食べてね」と、その体調を気遣うような言葉をかけてあげる心遣いを見せた場面が話題になっていた時のこと。

一般的には美談とされていたこのシーンに対して、「普段は厳しすぎるくらいアイドルに対して減量を求めるのに、痩せ過ぎたら今度は心配してあげるというのは身勝手ではないか」という趣旨の異論が呟かれているを目にしました。 

彼は評判通りの好人物だと個人的にも思っています。でも考えてみると、この意見が単なるひねくれた人によるこじつけだとも思えなかった。  

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KPopアイドルに向けられる減量圧力の強さは、ファンの間で広く知られている常識だと思います。

この事に関しては、プロの歌手として、人に見られる職業として、アイドルが体重面での管理が求められる職業であることは理解できる一方、あまりにも厳しすぎる要求がアイドルを心身共に追い詰めているのではという懸念は以前から提起されてきた。

他でもない、JYPが2015年に結成したTWICEのメンバー自身が、ショーケースに向けて一週間で7キロ痩せなければならなかったという過酷なエピソードを語っている記事を読んだ覚えがあります。 

 

アイドルが太り気味だと責められるのは、見た目に影響するからというのが、ビジネスとしてアイドルをマネジメントする人の真意だと思います。

ならば同じ立場にいる人物が、今度は痩せすぎだからもっと食べなさいという言動をとった時、そこには健康に配慮するだけではない、ビジネスとしての合理的な判断が見え隠れしてしまうのは避けがたい。

つまりこの相手を気遣うような言葉でさえ、理想的な体型が厳密に求められるアイドルシーンの現状においては、太っているから痩せるべきというお馴染みの圧力の単なる裏返しに過ぎないという見方も出来る。

 

Seize the Lightが映した不安

ちょっと話が変わりますが、Nizi Projectとほぼ時を同じくしてYOUTUBEで公開されていたのが、TWICEのワールドツアーに密着したドキュメンタリー「Seize the Light」でした。

この作品は、おそらく最初の方針としてはTWICE初のワールドツアーに密着しながら、デビューから今までを振り返るメンバーの姿などを織り交ぜつつ、無事にツアーを完走する9人を映して大団円となるはずだったのだと思います。

ところが、ミナさんの離脱とコロナによるツアーの中断という二つの予期せぬアクシデントにより構成全体が思わぬ起伏を持つことになり、そのことがここでもパク・ジニョンの態度を問うような展開を生んでいました。

 

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個人的には「Seize the Light」における中心的な光景といえば、準備含めて忙しいツアー日程の中、メンバー同士お互い支えあいながら大歓声の中に飛び込んでいくTWICEの9人の姿でした。 

大変だなと思いつつも、でも最初のうちはそんな場面の連続もトップアイドルなら仕方のないのかもしれないと、何となく眺めていた。

ところがワールドツアーが始まって早々にミナさんが離脱してしまうと、やはり何かがおかしいと違和感を感じ始める。

そもそも日韓両国を移動しつつ活躍するTWICEのあまりの忙しさについては、以前からメンバーの心身への負担を心配する声が上がっていました。

そうしたことを思い出すと、ミナさん離脱と過密スケジュールとの関連を考えないわけにはいかなくなる。つまりツアー開始が最後の一押しとなって、心配されていたことが現実になってしまったように、私の目には映った。

 

ドキュメンタリーの節目節目でTWICEに対するパクジニョンのコメントが差し挟まれる構成上、ここで気になったのがその反応でした。

まず序盤の放送回において彼は、厳しいアイドル活動一般について触れる形で、TWICEの9人に犠牲を強いているようで申し訳ないという心境を述べていました。

しかし具体的にミナさん離脱というまさにその「犠牲」と思われる出来事が発生してしまった時、差し込まれたコメントで彼は、この事態を若いアイドルが誰しも一度は抱く悩みや迷いとして、残念ながらよくあることとして理解しているような姿を見せ、そこに上述の言葉との矛盾を感じました。

つまりツアーが浮き彫りにしたように見えた「TWICEと過労、あるいは犠牲」という、視聴者が感じたはずの懸念と正面から向き合っているようには見えなかった。

そうしたことを考えながら見ていると、私には「Seize the Light」最終話におけるコロナ禍によるツアーの中断が、本来なら残念でしかないこの顛末が、皮肉なことにTWICEの9人にようやく休息をもたらしたように感じられました。

 

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パク・ジニョンと私たち

付け加えておくと、ここまで挙げたような問題はKPopの世界では一般的なもので、JYPだけが責められるようなことではないとも言えます。

しかし彼のような人物だからこそ、アイドルの心身の健康を保ちながら成功へと導くことが出来るかという、KPopアイドルシーン全体に課せられた難しい課題の解決を期待されているのだと思います。

 

そもそも20年以上もKPop業界の第一線で活躍し続ければ、褒められるような事ばかりではいられないことは分かります。実際、過去には何度か世間からの批判を浴びるようなこともあったようです。

それでもNizi Projectで明らかなように、彼の良い人柄を表すエピソードに触れる機会もまた多い。最近も事務所を離れた元ワンガのメンバーと、同窓会のような雰囲気の中で旧交を温めている光景が話題になっていました。

 

パク・ジニョンについて少なくとも明らかなことは、彼自身が良い人間であろうとしていることだと思います。何より、その姿勢こそが重要だとも感じる。

ネットを通して世の中を見てると、逆張りや冷笑的な言動をとりつつ、建前や礼儀を無視することを正直さとはき違えたような人々が影響力を持つ残念な現実があります。

そこに彼のように謙虚さや誠実さの重要性を素直に掲げる人物が、親しみやすい存在感と共に現れてきたことの意味は、単なる新しいタレントの登場以上の意味があるはずだと思いました。

 

そんなことを考えながら、最後に「Seize the Light」を見ていて最も心に留まった、最終回でチェヨンさんが将来への展望を語っているシーンに触れておきたいと思います。

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TWICEを通じて得た影響力を正しいことに使いたいという、眩しいくらいに真っ直ぐな目標を明らかにする姿勢には、きっと少しはパク・ジニョンの良い影響もあるのではないかと想像したい。

そしてNiziUの9人も、いつかこうした言葉を自然に語れるアイドルになってくれたら素晴らしいだろうなと期待しています。