猫から見たK-POP

ガールグループ中心に思ったこと書いてます。

ITZYにGFRIENDにfromis-9、それぞれの現在地

気付けば今年も残すところ3か月。この記事ではITZYGFRIENDそしてfromis-9と、話題としては少し遅いけれど、ここ数カ月の見過ごせないカムバについて振り返ろうと思います。

 

まずは8月に発表されていた「Not Shy」がとても良かったITZY

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「自分の気持ちなんだから自由に言わせてもらう」と前置きしておいてあなたが欲しいと続けるITZYなりのラブソングが歴代級でキャッチーだった。

始まりからどこを取っても絵になる振り付けに見入っているうちにサビに突入して、気付けばいつのまにか3分が終わってる。ポップ音楽に「加速力」なんていう評価があるかどうかは知らないけれど、あるとすればこの曲はそれが凄い。

加えていかにもレトロなクライムムービーみたいなMVも良かった。スタジオに籠ってセットやCGで緻密な世界を作り上げるやり方もいいけれど、ITZYはいつも広い空の下へ飛び出して何かしでかすところがいい。

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このポスターとかも活劇的な動きがあって、本当にこれから物語が始まるみたいで良かった。ガールグループといったら大人しく椅子に座ってみんなこっち見てるみたいな構図が多い中、この辺も抜かりなくITZYらしい。

 

アルバム全体についても、前作とか馴染みのない外国の作曲家陣が大集合した結果、自分にはよく分からない音が鳴りまくっててちょっと距離を感じてた。

それが今作では、LDNnoiseにKenzieにMOSPICKそしてJYPというお馴染みの有名どころが終結。鳴っている音もこういうのが聴きたかったというものが揃ってる。こうしてより大衆的になった音楽も、今回のグループ最高の初動販売に貢献したのではと思う。 

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溌溂としたパフォーマンスで力強いメッセージを表現し続けて来た彼女達は、先輩であるTWICEがいわゆるアイドルらしいキュートな王道コンセプトのもとでデビューできたのとは違い、独特の風圧を感じながら一心に走ってきたように見える。

でもここに来て少し肩の力を抜くことで表現の幅を広げ、でもこれまで歩いてきた道からは外れず、というか道そのものを広げてこれからもズンズン歩いていくITZYの姿を印象付ける、「Not Shy」はそんなカムバになっていると思った。

 

 

次はGFRIEND

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素朴な体操服姿で「パワー清純」デビューした彼女達も、いつしか大学生くらいの雰囲気を漂わせながら内省的な歌詞で自身の葛藤を歌うまでになっていた。そして最新作「apple」では更に大胆な変身を見せ、前作から続く世界観の中で迷いの先に表れた誘惑を象徴するような魔女の姿を堂々披露して、GFRIENDの表現が新しい段階に入ったことをはっきり示したように思う。

一方でアルバム収録曲の方にはこれまでの積み重ねを感じさせる、いわゆるヨチンな曲が多く収録されて、美しく完成されたアルバムになっている。知っている名前が多いという意味では上記ITZY以上に豪華な作曲家が集まっていて、個人的には今年のトップアルバムの一つ。

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それにしてもデビュー当初はいたって質素な体操着や制服を着てステージに上がっていた彼女達が「Apple」で豪華な衣装で舞台に上がる姿は、まるで「ぬののふく」と「ひのきのぼう」で旅立った勇者が冒険の果てに伝説の武器防具で身を固めたような、ドラクエ的な成り上がりを感じさせて熱い。これにはきっとBigHit傘下に入ったことによる影響もあるはず。

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影響と言えば、音楽面においてもBigHitのトップであるパンシヒョク自身がタイトル曲含め3曲に作曲家としてクレジットされてることも分かりやすい。例のBTSコラボ騒動から見えるように、彼が日本のアイドル的な歌謡曲を好んできたことは有名で、つまりGFRIENDが音やコンセプトの中で見せてきた日本的情緒と、創作家としてのパンシヒョクの傾向はもともと遠くないのだと思う。

なので、日本オリジナルでも力の入った曲を積極的に作ってきたGFRIENDのこれまでを考えると、日本向け活動を通じてBIg Hitトップの個人的な趣味が発揮されたりする展開があると面白そうだなと思った。

  

 

そしてデビュー以来順調に活動を続けながら1年半を迎えた頃、プデュ騒動の余波を受ける形でカムバから遠ざかり、1年3か月を経てようやく復活したfromis-9。 

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「Feel Good」での洗練された姿は、ステージから離れていた間も時間は流れていたという当たり前の事実を思い起させた。まだまだ制服姿の9人が強く印象に残っている自分としては、前作「FUN」の後にもう一回くらいは可愛い寄りのカムバがあるのではと期待していた。

でも「Feel Good」でのプロミの堂々とした姿を見ていると、やはりそれに相応しいだけの時間は経ったんだという事を認めるしかない。1年3か月という時間のせいで、途中あったはずの過程を見逃してしまったような心残りはあるにしても。

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fromis-9と言えば、GFRIENDやLOVELYZとは学校や教室そして制服といったデビュー時のコンセプトに共通点を持ちながら、一方ではそれら先輩が持っていた日本のアニメや漫画に繋がる音楽や世界観などは共通してないように見える。

デビュー時の学校コンセプトも「アイドル学校」という出身番組と関連付けながら、明るく前向きで爽やかな姿勢を表すための方策で、「LOVE BOMB」や「FUN」で早々に教室を飛び出した姿からはこのグループの持つカジュアルさがよく伝わって来た。

更に言えばプロミはITZYのように芯の通った明確なメッセージを掲げているようなグループでもない。縛りとなるコンセプトがなく自由が多い。そのことは9人の魅力とプロデュースの方向性次第でどんな姿にもなれるということでもあり、今回の「Feel Good」でもそれは証明されていたと思う。

 

その一方で、新しい私を見せてあげると歌う「Feel Good」はリスタートを告げるには相応しい歌だと思うけれど、個人的にはfromis-9にもっと特別な姿を期待しているし、それが出来るグループのはずなので、気が早いけれど次のカムバにも期待してる。

ちなみに今回の活動で特に印象深かったのが、よくあるトレーニング室での振り付け動画、と見せかけたこのサプライズ映像。

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冒頭のメンバーの反応を見るにスタッフさん達の声援が入るとは知らされてなかったようで、感極まって思わず踊りが乱れるプロミの姿がとても印象的。裏方に回ってプロミを支える人達の心遣いが垣間見えて胸を打つ一幕であると同時に、9人を巻き込んで去った嵐を思って安堵を覚える、そんな光景でした。

最後に、ここまで取り上げてきた3組以外でも自分が追ってるグループは、キャリアの位置こそ違いながらもそれぞれに順調で、色々と世の乱れが目立つ今年にあっても、そこだけは良かったなと思ってます。