猫から見たK-POP

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息を止めて跳べ。IVE「LOVE DIVE」

昨年12月の「ELEVEN」による華々しいデビューの記憶がいまだ鮮明なIVEが4月5日に「LOVE DIVE」で戻って来た。

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題名や歌詞から伝わるものを言葉通りに受け取るなら、これは恋愛において一歩踏み出す勇気を歌った曲のはずなのに、その全体が醸し出す雰囲気はとても不穏で退廃的。本当にこのキューピッドの放つ矢に射抜かれてもいいものか。どれだけ美しく楽しげに見えてもこれは悪夢なのかもしれない。

公式はこの曲をダークモダンポップと表現してる。聞きなれないジャンル名だけど、ひょっとしたらビリーアイリッシュ的な音楽を指しているのではと想像する。

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私はこの曲をダークではなくサッドだと感じた。夕陽をたまらなく寂しく感じるのは、この世に生まれ落ちた時に感じた泣き叫ぶほどの悲しみを思い出しているからだというのは本当だろうか。「LOVE DIVE」で広がる夢幻的な音の空間は色々な感覚を呼び起こし、KPOPのリズムと混じり合いながら一筋縄ではいかないIVE特有の魅力を生む。

特に繰り返される「Woo」の残響は曲全体に満ちる歪んだ美しさを象徴している。個人的にこの部分からラナデルレイを感じた。少し不思議な連想だけれど、前作「ELEVEN」で意外性と大衆性を両立させたIVEならそんな繋がりもあり得る。

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今作では6名の魅力が整理されてより説得力が増したようにも感じた。

マンネであるイソさんの背伸びしたような可愛らしさ、いよいよ加速するウォニョンの美、レイ&ガウルの二人の眼差しに象徴される雰囲気は「LOVE DIVE」に絶妙な説得力を与えている。リズさんの歌声はIVEというチームにとって一本の柱であり、収録曲「Royal」でも大きな存在感を見せていた。

そしてユジン。彼女がセンターに躍り出るダンスブレイクには、まさに「率いている」感じが出ていてとても頼もしい。「LOVE DIVE」は6人の輪郭を明確に浮かび上がらせる点で前作以上に強い印象を残し、わずか4か月の間隔ながらチームの成長を感じさせた。

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熱狂的に迎えられた「ELEVEN」に続いて今回も曖昧で捉え難い魅力を通してガールグループ第4世代の勝者になり得ることを証明したIVE。IZONEという名前を背負った2人の知名度をいたずらに振り回すことなく、新たなバランスを持ったグループとして成功したことは改めて素晴らしい。6人が並んで見えを切って終わる「LOVE DIVE」ラストでの誇らしげな姿からは早くも自信と余裕のようなものが感じられて眩しかった。