早くも過ぎ去って行く2024年という年をKPOP(女子)に限って思いつくまま振り返ってみると良いこと変なこと色々あった。
今年の1曲はILLIT「magnetic」
2024年を代表する曲と言えば成績・インパクト共に文句なく「Magnetic」だったと思う。ILLITによってKPOPにおける「可愛い」が再定義されたと感じられるほどにガールグループの表現に新たな彩りを加えた。ガルクラと呼ばれたりするクールでカッコいいコンセプトが席巻するKPOPの風潮をゆるふわな可愛らしさの力でねじ伏せて見せた。アイドルは可愛くあってこそと高らかに宣言した2024年KPOPガールグループのアンセム。
この「magnetic」や「cherish」といったタイトル曲だけでなく、同時活動曲も見過ごせないものばかりで、ファンからするとデビュー初年のミニアルバム二枚という活動量のわりにはすごく満足度の高い一年だった。
仕事は出来るHYBE
2024年におけるHYBEという名前はNewjeansのプロデューサーであるミンヒジンとの抗争において悪役のようなイメージを負わされてしまったけれど、上記のILLITやアメリカでKATSEYEのデビューを成功させたことでその高い能力を改めて証明したことは特筆されるべきだと思う。LE SSERAFIMもいつの間にか北米で熱狂的な人気を得つつあるようで、HYBE傘下のガールグループはそれぞれが独自の在り方で成功を収めている。
KPOPの4大企画社という括りは今でも健在のようだけど、こうして世界を相手に自由自在にHYBE流KPOPの存在感を示しているのを見ると、今やSMやYGなどとは一段違う場所に立っているように見える。
九州出身のKPOPアイドル(女子)が増えてる
オ-ディション番組「i-LAND2」から誕生して11月にデビューしたizna。その日本人メンバーの1人であるマイさんが長崎県五島市の出身ということが伝えられている。ということはつまりILLITのモカ(福岡)、ルセラのサクラ(鹿児島・福岡)、Niziuのマコ(福岡)、Wooahのソラ(福岡)、Kep1erのヒカル(福岡)に次いでおそらく6人目の九州出身現役KPOPアイドル(女子)が誕生したということになる。
でもこうして並べてみると、九州出身と言いつつ今までは全員が事実上福岡だったわけで、今回マイさんのデビューは初めての非福岡系KPOPアイドル(女子)の誕生という意味でも特筆すべき出来事だったのではないか。
QWERの活躍
秋恒例のMAMAが大阪で開催されてBIGBANGなどKPOPアイドルの登場で盛り上がっていた。そんな中に昨年デビュー以来快進撃を続ける韓国版ガールバンド・QWERもいた。
元アイドルとストリーマーが集まって作られたバンドという、あまり前評判が高くなりそうもない組み合わせから意外にもヒットを飛ばし、そのままコンスタントに活動を続けて2024年も結果を出し続けた結果、広くその実力を認められるに至った。その証明としてのMAMA登場だったと言える。
それにしてもKPOPアイドルが大挙して集まるのが恒例となっているMAMAの空間にドラムのリズムに支えられたバンドサウンドが軽やかに響き渡る様子はかなり新鮮で、KPOPという名前で括られる音楽性の画一性を意識させる光景だった。
ところでQWERはKPOPなのかどうか。韓国語で歌っているJPOPガールバンドのように見えることもあるし、色々な点でKPOPシーンの境界に立つ面白いグループだと思う。
ミン騒動
2024年韓国内でのグーグル検索語において、人物部門の一位はミンヒジンで二位はノーベル文学賞を受賞したハン・ガン氏だったらしい。
4月に勃発したHYBEとNewjeansのPDであるミンヒジンの内紛劇は、韓国社会を席巻してメディア全体を賑わす大騒動となり、なぜか国会まで巻き込む訳の分からない広がりを見せた。結局はPDがアイドルとその両親を取り込んで独立を画策するという昨年のFIFTYFIFTY騒動と本質的に同じ話の繰り返しらしいのだが、ただしそれがHYBEというKPOPシーンにおける最大企業を舞台に起こったことが驚きだった。
今後は法と契約の定めるところに従って粛々と進んでいけばよいと思うけど、今回の騒動をどちらの立場から眺めるにせよ、業界全体を巻き込んで行われた闘争でKPOPのイメージと秩序が傷付けられたのは残念だった。
4月以降、KPOPへの個人的な関心のほとんどをこの騒動に向けてきた自分としては、KPOPの2024年はとてもカオスな一年だったという印象が強い。
しかし同時に、今年はKPOPガールグループにとって近年まれに見る当たり年で、ILLITにBABYMONSTER、iznaにMEOVV、SAY MY NAMEにRESCENEやKATSERYEなど2024年にデビューした有望グループの名前をいま思いつくだけでこんなにも挙げられることは、競争激しいKPOPシーンにおいても珍しい。
こうしたグループが活動を本格化させていくのが来年以降だと思えば、彼女達によって担われることになるシーンの先行きは明るいはずで、今年も色々あったけど2025年もKPOPが楽しみだなと期待してる。