猫から見たK-POP

ガールグループ中心に思ったこと書いてます。

ガールグループ黄金世代かもしれない

 

2024年も11月になって、なんか最近良い感じの新人グループが多いということに気付いた。例年通りならせいぜい2組とか言ったところが、今年は自分向きのアイドルがすでに5~6組とかになっている。こんなことは8年目になる自分のKPOP歴の上でなかったことで、つまり2024年デビュー組はガールグループ黄金世代なのかもしれない。

ILLIT

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黄金世代の筆頭は言うまでもなくILLIT。今年3月に「magnetic」で記録的なデビューを果たしてから7か月ぶりのカムバとなった「Cherish」は、ILLITだけの魅力を誇示して巷の喧騒を吹き飛ばす。

柔らかい少女のイメージはそのままに、音楽は秋の気品と疾走感が共存し、ダンスは溌溂として可憐でありながら力強い勇敢さも併せ持つ。大人しく見えても決まり切ったイメージで語られるのを拒絶するような反抗心も感じる。

ILLITは絶対的なセンターのいないまとまりのよいグループだが、KPOPには珍しいウォニの甘く柔らかな存在感とミンジュの詩的な響きを持つ歌声がテンポの早いILLITの音楽と重なり合った時に生まれる魅力はこのグループが唯一無二である証だと感じさせる。

SAY MY NAME

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IZONEの本田さんがKPOPに再挑戦という報せには驚かされた。しかも去年出来たばかりの事務所社長を務めるのはあのキム・ジェジュンだという。

チームの実態が見える以前にこうした有名な固有名詞が飛び交う状況には期待と同時に不安も高まる。名選手は名監督ならずの言葉もあるし、挑戦の数だけ失敗があるのがKPOPの世界。できれば本田さんが再び輝く姿を見たいが、くらいに思っていたけど、杞憂だった。

SAYMYNAMEのデビュー曲「Waveway」は胸のすくような正統派のアイドルポップソングで、皆が何となく想像するアイドルの可愛らしさを踏襲しながらもグループだけの爽やかな魅力を感じさせることに成功している。メンバーを見ても本田さんの存在だけが変に目立つことのない人達が集められていて、安心して応援していけるグループで良かった。

RESCENE

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RedVelvetや今月の少女、公園少女などが見せていた耽美的なKPOPを2024年の今に表現しているのが、3月にデビューしたRESCENE。自分達の思い描く美学を正確に音楽で表現することに長けていて評論家の評価も高く、すでに一定のファンを獲得するのに成功している。

所属事務所であるミューズエンターテイメントは中小企業ながら、代表兼PD含め経営陣が全員バークレー音大卒業とのこと。こういう情報があると一層音楽が良く聞こえる気がする。

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音楽、ビジュアルコンセプト含めたグループの世界観が端正かつ上質なクオリティで満ちていて、こうしたグループがさして大きな知名度もないところからスッとデビューする辺りがKPOPシーンの真骨頂だと思う。

BEWAVE

今年は他にもUNISやMADEIN、再スタートしたFIFTYFIFTYからBABYMONSTERまでいるとなれば、やはり黄金世代誕生の年だった。そんな中で最後に取り上げるのは4月デビューで10月に「あなたへ行く道はあまりに難しくて」でカムバックしたBEWAVE。

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教室や廊下、体育館に屋上などお馴染みの学校風景の中で6人が舞い踊る姿は幾度となく繰り返されてきたアイドルの王道でありながら、決して古びない青春の幻想を新しく鮮やかに描いて見せる。このMV(パフォーマンスバージョン)は、ありもしない青春の美しい記憶を喚起する力がある。

躍動感と清純派アイドルを組み合わせて描くKPOPコンセプトと言えばGFRIENDが思い浮かぶけど、この曲はバンドサウンドのせいか最近QWERのヒットで脚光を浴びているJPOPのガールバンドの傾向が強く感じられる。

メンバーを見てみるとKISSOFLIFEやYOUNGPOSSEなど、有名グループのデビュー候補から最終的に外れた人が多く在籍している特徴がある。あのITZYのリュジンも参加してたサバイバルオーディション・MIXNINEに出演してから6年ぶりにデビューに辿り着いた人もいるほか、日本人も一名在籍している(金髪の人。活動名はレナだが本名は由奈)。

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それにしても上のMVは素晴らしい。ふつうKPOPのMV(パフォーマンスバージョン)というのはリリース日に公開されたMVの中からダンスシーンのために撮影した部分だけを取り出して再編集して後日公開されるものだけど、これは全く別に撮影した映像だけで構成されていて正式なMVとシーンの被りがない。つまりMVの別バージョンと言えるもので、それがパフォーマンスバージョンであることで6人のダンスを純粋に強調することでひたむきな青春の一幕を捉えたような効果を生んでいる。

KPOPとアイドルの王道に対する誠意を感じられるBEWAVEは、今よりもさらに多くの関心を受けるのが相応しいKPOPアイドルだと思う。