人気インフルエンサーやストリーマー、元アイドルの4名で結成された韓国のガールバンド・QWER。その1stミニアルバムからのタイトル曲「コミンチュンドク(悩み中毒)」が4月にリリースされて以降、韓国の主要チャートの上位を維持して話題になっている。KPOPやトロットあるいはドラマOSTからのバラードが圧倒的シェアを占めている韓国チャートでこうした正統派ガールバンドな曲が上位に入るのは珍しい。
ところでこのQWERとはいったい何なのか、どういう成り立ちで韓国に和風ガールバンドが誕生したのか、その過程についてはYOUTUBEで全公開されている。それを見るとバンドの仕掛け人は社長兼PDであるキム・ゲランという人物であることが分かる。彼がメンバーをひとりひとりスカウトしてゆき、QWERを作った。
韓国の人気YOUTUBERであるという彼がネットのインフルエンサーを集めて結成したという経緯は、ともすればQWERが企画色の強い泡沫グループだとの印象を見る人に抱かせかるかもしれない。
しかし彼自身が語るところによる「けいおん」から「ぼっち・ざ・ろっく!」、「推しの子」等の日本のアニメへの愛情、そしておそらくは日本のガールバンドに対する知識がQWERというガールバンド誕生の原動力になっただろうことが一連の動画からは伝わるし、彼の熱意が真っ当なことはQWERの音楽にも現れていると思う。
もうひとつ、QWERのバンドの核にはその音楽と共にメインボーカルであるイ・シヨンの存在がある。
彼女は海を越えたアイドル苦労人でもある。韓国で路上ダンスチームからキャリアを始め、やがてNMB48への参加を目指すがコロナの影響を受けて選考途中で断念。その後再挑戦へ向けて日本のメイドカフェで働きながら時機を待ち、翌年見事合格すると晴れてNMB48初の外国人メンバーに。
グループでは歌唱力が高く評価されるものの、アイドルとしての先行きに不安を感じた彼女は卒業を決意し、そしてQWERのプロジェクトに出会うことになった。このように見るとQWERには彼女が自分の歌声を生かすのに相応しい場所を得たという物語の流れも見えてくる。
そんなQWERは日本のサブカルチャーへの親近感を隠さず誕生したバンドであり、メンバーも総じてアニメとか好きな人も多いらしいので、いずれはガールバンドの受容に関しては歴史のある日本での活動も期待される。
現時点でも多くの映像コンテンツに和訳がつけられていること、ボーカルのイシヨンは日本語も出来ることを考えると、具体的な活動も視野に入れているはず。すでにフェスの前座として日本の観客の前で演奏を披露しているものの、現在韓国チャートで高まっている注目度に後押しされて、本格的に日本の舞台に登場する日も近いのではと思う。