猫から見たK-POP

ガールグループ中心に思ったこと書いてます。

(G)-IDLEとの向き合いかた

 

5枚目のミニアルバム「I love」からのタイトル曲「Nxde(ヌード)」が大ヒットしていた(G)-IDLE。挑発的な歌詞で外部の偏見を跳ね返しながら華麗な舞台を披露する姿は絢爛豪華で自信に満ちていて、いまKPOPという言葉が喚起するイメージを音楽的にも視覚的にも象徴しているグループだと改めて感じた。

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そんな(G)-IDLEだけれど、韓国本国における評価に比べて日本における知名度やグループを巡る熱量はそこまで高くないように見える。思うに、その差は(G)-IDLEというかKPOPそのものが見せるアメリカ文化への親近感と日本のそれとの違いに原因がある気がする。

日本のカルチャーも広くアメリカの影響を受けていると言われる。でもマリリン・モンローのイメージを鮮やかに組み込んだ「Nxde」で分かりやすいように、KPOPの積極的で開放的な表現を見ていると当然ながら異文化の受け入れ方には差があって、そのギャップがちょうど日本における(G)-IDLEへの反応において現れているのでは、などと想像する。

自分自身もそんな(G)-IDLEの活躍をなんとなく遠目から眺めているようなところがあった。ただ最近、むしろタイトル曲以外の音楽の方に惹かれる部分が多いことに気付いてグループへの印象が少し変わった。以下ではそんな中から特に気に入った曲をいくつか。

まず最新作「I LOVE」からは「CHANGE」。成功したはずの日々から感じる虚しさを歌った曲。そのうつろな感情を表現するミンニさんの歌声が特に素晴らしく、今回のアルバムの中で一番よく聴いてた。ほぼ全編が英語詞。

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初のフルアルバムだった前作「I NEVER DIE」からは「ESCAPE」。励ましと慰めをテーマにした落ち着いた曲なので、強烈で気の抜けない楽曲が多めのグループにあってコンサートなどで重宝されそう。

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4枚目のミニアルバム「I burn」から「DAHLIA」。危ういと感じつつも全てを投げうってしまうような恋についての歌。どこか諦め混じりに聴こえるボーカルが印象的。

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こうやって聴いてくると(G)-IDLEが優れたボーカルメンバーを揃えたグループだということを改めて感じる。そしてソロアルバムも出しているミヨンさんやガールグループでは稀少な低音が魅力のウギさんなど実力派が並ぶ中でも、自分はミンニさんの美しい陰りと曖昧さを併せ持つ歌声に惹かれる。

ミンニさんといえばここまで挙げた3曲全てに作曲で関わってもいる。ということはつまり、(G)-IDLEにはプロデュースもするリーダー・ソヨンさんが象徴している有名な顔とは異なるもう一つの側面、つまりミンニ面があって、自分が好んでいるのはそっちということなのかもしれない。

ちなみに現在まで2枚発表されている日本向けアルバムにそれぞれ収録されてるオリジナル曲を両方とも作曲してるのも彼女。タイ出身のミンニさんが韓国でアイドルをやりつつ日本向けに曲を書いていることになる。そのうちの一曲「Tung-Tung」も色褪せていく恋を歌いながら(G)-IDLEのミンニ面らしい個性を感じさせる。

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今回のカムバを振り返ってみると、ガールグループ黄金期と言われるほどに多くの新人アイドルがチャートを賑わせている中にあっても(G)-IDLEの示す存在感は際立っていた。

例えば活動時期が重なって色々比較されたLE SSERAFIMとは共に50万枚を突破する勢いでアルバムの初動販売数を競いながら、結局は68万枚近くを売り上げた(G)-IDLEが上回ることになった。更に言えばデビューアルバムのセールスがわずか2000枚程度だった(G)-IDLEにとっては、それが30万枚だったルセラと比べると今回の数字が意味するところは大きく異なる。同じことはIVEやNewjeansとの関係でも言える。

階段を一段目から着実に駆け上がるようにしてキャリアを築いた(G)-IDLEが第4世代でひしめき合うチャートに君臨している事実は、グループの実力だけでなくてKPOPシーンのもつ競争の健全性や、そこに集う人々の審美眼まで証明しているように思える。「Nxde」のヒットが意味したものはその数字以上に大きいのかもしれない。