猫から見たK-POP

ガールグループ中心に思ったこと書いてます。

足しても引いてもIVEはIVE。IVE「Baddie」ほか

 

多くのカムバや新曲公開で賑わった2023年10月第2週からtripleS、JINIそしてIVEについての記事です。

 

tripleS EVOLution「Invincible」

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今年の2月にデビューしてからわずか8か月でもう4枚目のEP「EVOLution」をリリースしたtripleS。その4枚全てが6曲以上収録のEPという枠組みで、しかも個々の楽曲についてもグループの美学を上手に表現した高水準の出来栄えになっている。

その活発な活動は16名から更に拡張する予定らしい大人数グループという形態に対する、果たしてその規模を生かせるのかという懸念への回答でもある。当初はそのコンセプトについて半信半疑だったけれど、今では競争激しい第4世代の中で独自路線を進みながら決して無視できない存在感を示し始めていると感じる。

 

JINI「C'mon

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昨年2月にJYPからNMIXXのメンバーとしてデビューして二枚のアルバム活動に参加するも、同年12月にグループを脱退したJINI。彼女のソロデビューとなるミニアルバム「An Iron Hand In Velvet Glove」がリリースされた。

全4曲が全て洗練された仕上がりでタイトル曲と比べても遜色ない。個人的にも好みの作風で揃っていて、特に気にしていなかったNMIXXの元メンバーのソロデビューという動きだっただけに嬉しいサプライズだった。それにしても唐突にこのような完成度のアルバムが唐突に生まれてくることにKPOPシーンの層の厚みを感じる。

ただ新しい会社が優れたプロデュース能力を持っていることやJINIとの相性の良さなどは伝わる一方で、彼女自身のソロ歌手としての将来性はまだよく分からない。その透明な歌声は耳にスムーズに届いて素直な魅力を感じるけれど、いささか個性に欠けているようにも聞こえる。そこを含めて今後の展開に期待。

 

IVE「Baddie」

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花火を打ち上げる勢いでIVEの絢爛豪華な魅力を正面から打ち出した前作とは一転、今回は「Baddie」で華美な装飾を取り払った6人の魅力を力強く見せつけた。NewjeansやLE SSERAFIMなどラップを重視しないグループも目立つ中、新アルバム「IVE MINE」でもIVEはKPOPの王道であるアイドル×ラップの組み合わせを固守している。

「Baddie」については前作と比べて大きな変化を感じさせ、その点について独自路線を見失っているとの批判や、また既存のアイドルが持つ特徴的な作風を踏襲しているとの指摘がなされているとも聞く。

個人的にはこの曲が6人の魅力を引き出すという目的を十分達成していると思うし、その舞台からは借り物でない説得力も感じて満足してる。一方で「Baddie」という変化球はIVEであるということはどういうことなのかを改めて意識させて、今後のキャリアを考えた時の試金石にもなり得ると感じた。

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そう言えば先日のソウルコンサートで子供連れの姿が目立っていたというニュースでIVEが大統領ならぬ「小統領」という愛称で呼ばれていることを知った。小学生からの人気が特に高いことを指しての表現らしい。

IVEは6人全員にアイドルとしての愛らしさと清潔感、ユーモアや親しみやすさがあって、更に舞台上でその魅力を表現出来ているからこそ大人から子供まで親しまれているのだと思う。だからIVEの音楽にはKPOP的な王道が求められているのだろうし、その王道をいかに表現するかという難しさがあるように思った。