猫から見たK-POP

ガールグループ中心に思ったこと書いてます。

正統派としてのIVE「I AM」「Kitsch」

 

IVEやLE SSERAFIMにaespaそして(G)I-DLEまで立て続けにカムバしていたこの2か月は、KPOPガールグループが第4世代の真っ只中にある事を強く印象付けるものだった。にもかかわらずブログを書き損ねていたので、変なタイミングになったけどその中からLE SSERAFIMとIVEについて振り返る内容です。

 

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LE SSERAFIMのメンバー構成から、元々WIZONEだった自分はどうしても宮脇&キムチェというIZONE出身の2人を中心にグループを眺める癖があった。しかし実はこのグループの中心はホ・ユンジンなのではと前作辺りから思い始め、今回の活動ではその考えを更に強くした。

ホ・ユンジンと言えば5年前IZONEを生んだPRODUCE101のシーズン③で26位で脱落し、その後色々あってアイドルを諦めてアメリカに戻っていたという経歴を持つ。ああいう視聴者参加型のオーディション番組というのは一般人による人気投票という表向きではあるけど、その順位はその時のアイドルとしての客観的な評価も反映されるものだと思っている。

なので彼女がこうして第4世代を代表するグループのひとつであるルセラの中心で輝いている姿は5年越しの逆転劇を見せられているように感じる。

 

あとLE SSERAFIMといえば今回のカムバにあたってロザリアとの音楽面やビジュアル面における従来からの類似性が指摘されてた。確かに言われる通りの関係は見て取れるけれど、KPOPシーンのみならず模倣を繰り返すのは創作の常なので個人的には両者の関係がとりわけ特別なこととは思わない。

ただこのエピソードからは、BTSを生んだHYBEが2022年という時代にKPOPガールグループを作るにあたって参考にしたのが、フラメンコへの造詣を基礎に持つと同時にその音楽的な革新性で絶賛される同時代のスペイン出身のポップアイコンだった、という事実は記憶されるべきだと思う。

 

第4世代ガールグループが軒並みカムバして華やかな舞台が繰り広げられる中で最も印象に残ったのは「I AM」と「Kitsch」のダブルタイトル曲で活動していたIVEだった。

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いま多くのKPOPガールグループが様々な手法で自分達だけの独自性を示そうと競っている。その試みの代表的なものとしてはNewjeansの「Y2k感性」だったり、aespaのマルチバース的な仕掛けだったり、LE SSERAFIMが強調する強烈な自意識の主張などがある。

そんな中でIVEはKPOPの王道を率直に表現する点で特徴を見せている。恋についての歌、秩序だった音楽構成、アンニョンズを中心としたメリハリのついたメンバー編成そしてお馴染みのラップパート配分などは、KPOPの約束事から自由になろうとするNewjeansと比べるとその違いが分かりやすい。

4月のKeplerのカムバ辺りから始まって最近のアイドゥル「Queencard」まで続いた2023年春の第4世代大戦。その中から一曲を選ぶとしたら、そんなIVEの「Kitsch」を選ぶ。

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6人の魅力を自由奔放な姿で表現したこの曲は可愛らしさやかっこよさだけでなく、鳩時計みたいな間の抜けた効果音が印象的に使われることで面白さまで兼ね備えて最強に近づき、「I AM」が見せる整理された美しさとは良い対照になっていた。クライマックスでユジンとイソが交差した狭間からウォニョンが立ち現れるフォーメーションには勝手に画面が揺れて見えるほどの迫力があった。

 

様々なガールグループがひしめく今のKPOPシーンの中で自分がこうしてIVEに惹かれるのは、個人的に元々WIZONEだったことと関係があるんだと思う。IZONEもまた、時に少女時代を引き合いに出されるほどにKPOPの王道的な表現を得意とする正統派KPOPガールグループだった。

そのIZONEの中心的な存在だったアンニョンズが再びIVEとしてNewjeansやaespaといった個性的な面々と同じ時代にキャリアを送ることで正統派としての魅力がより際立つ結果になってる。

そしてLE SSERAFIMでアイドルとしての幅を広げようとする宮脇&キムチェと、IVEとしてKPOPアイドルの正統を背負って立つアンニョンズの2人は、新たなグループにおいて大成功を収めたという点では共通しながらその個性の見せ方は互いに大きく異なる結果になった。

その違いを眺めながら色々と思うことはあるけれど、2023年の現在、第4世代トップアイドルとして競い合う形になった2つのグループをそれぞれ象徴するのが元IZONEメンバーであるという事実は、WIZONEだった自分にとってIZONE後のKPOPシーンの光景として理想に近いものであることは間違いない。