NMIXX「DASH」
第4世代の問題児、というのがNMIXXに対する認識だった。なんせデビュー曲「O.O」が聴いてると車酔いに似た感覚を覚えてしまうという、自分にとっては前代未聞の問題作で、こんなグループは他にない。
暴走気味に始まった活動も「Love Me Like This」辺りから程よいバランスが感じられ始めていたけれど、今作はついにMIXPOPという挑戦が大衆性を伴って形になった記念すべき作品になった。
NMIXXはまるでキャリアという時計の針を逆に回しているようなグループにも見える。MIXPOPを突き詰めたものとして「O.O」が登場するのならまだしも、あれをデビュー曲として最初に持ってきたのは蛮勇ではなかったかと、いまだに思う。
ITZY「UNTOUCHABLE」
メインボーカルであるリアの活動休止で4人体制となってから初めてのアルバム活動ながらITZYらしい安定した姿を見せた。しかし巷の反応にはCDセールスの明らかな減少を指摘するものもあった。ただこれはメンバーも減り、アルバムバージョンも少なくなったことでCD販売がある程度落ち込むことは自然なことで、シーン全体の下落傾向も含めれば仕方のないことではないかと思う。
個人的には、KPOPならではの外連味と前向きな姿勢を共に感じられる「UNTOUCHABLE」は、ITZYが正しい方向に歩いていることを示せていると思う。そして第4世代全盛のシーンにあって3.5世代とも言うべきITZYに改めて注目していると、LE SSERAFIMと近いエリアで戦っているように見える瞬間があったのも面白い。
VCHA「Girls on the year」
JYPがアメリカで開催したオーディション番組「A2K」から誕生したVCHAが「Girls on the year」でデビューした。
欧米のガールグループと言えばKPOPの成り立ちに強い影響を与えたSpice GirlsやLittle Mix、Fifth Harmonyの名前が思い浮かぶように、西洋にはパワー系のグループを輩出してきた歴史がある。そんな土地を舞台にして、KPOPで世界的人気を得た韓国の会社が手掛けるガールグループはどんな姿になるのかという興味があった。
そうした視点で見るとVCHAそして「Girls on the Year」は、JYPなりの清潔感やフレンドリーな姿勢が感じられるものになっている。もう少し何かインパクトが欲しい気もするけど、相当過激な表現が普通に飛び交ってる向こうの音楽シーンを考えるとこれくらい穏当な個性で逆に良いのかもしれない。
そう言えばHYBEもオーディション番組を通じて結成した「KATSEYE」のデビューを予定しているらしく、VCHAとの比較という点からも興味深いものになると思う。
最後にLittle Mixの名前で思い出したカバーステージをふたつ。「Woman like me 」はIVEコンサートでのアン・ユジンの勇姿が話題になったのが記憶に新しく、「Touch」には後にIZONEとなるキム・ミンジュ&本田仁美の姿があって、今見るとすごく懐かしかった。