猫から見たK-POP

ガールグループ中心に思ったこと書いてます。

とある復活、ひとつの理想。最近のKPop

最近KPopを聴いていて、タイトル曲だけでなくアルバム全体で良いなと思えることが続いている。なのでこの記事ではアルバムの収録曲を中心にVIVIZ、DREAMCATCHER、PURPLEKISSという特に気になった3組のカムバを振り返った。

 

VIVIZ「Beam Of Prism」

現在エムネットで放送中の「クインダム2」で奮闘してるVIVIZの「Beam Of Prism」。発売されたのは2月だったのであまり最近とは言えないけど、アルバムまるごと良いなと意識し始めた最初がこれだった。

軽快なタイトル曲「Bop Bop!」やピアノの旋律が古き良きヨチンの姿を浮かび上がらせる「Mirror」など多彩な曲が揃っている中、ここでは「Love You LIKE」を選んでおく。「私たち、お互いを映してまた夢を見る」と、再スタートにあたりファンに向けた率直なメッセージをさりげなく前向きな音楽に乗せて聴き手に爽やかな感触を残す。

www.youtube.com

昨年5月に起こった、VIVIZの前身と言えるGFRIENDの唐突な幕引きはファンに衝撃を与えると同時に色々な憶測を呼んだ。7年の壁という言葉で片づける気にはなれないあの出来事について、今回VIVIZの名の下に過去ヨチンのキャリアと関わりを持ってきた作曲家陣が再集結したという事実が一つの答えを出しているようにも思った。

大手芸能会社を中心に計画的なアイドルグループのデビューが鳴り物入りで繰り返されている昨今にあって、VIVIZとしてステージに戻って来た3人含め、まだヨチンの物語には続きがあるということを証明するかのように集まった人々の姿勢が示唆するものは多い。

 

DREAMCATCHER「Apocalypse : Save us」

2017年1月のデビューアルバムから数えて12枚目となる「Apocalypse : Save us」は、そのキャリアの集大成のような佇まいだった。良いアルバムにはタイトル曲に負けない収録曲が含まれているものだけど、「Maison」を活動曲に持ってきたこの「Apocalypse : Save us」で言えば、それは「STARLIGHT」になると思う。

www.youtube.com

環境問題に対して果敢に警鐘を鳴らすタイトル曲と異なり、こちらはレトロでシンセな美しい恋の歌。夜空の高さを思わせるユヒョンのボーカルの広がりが耳に残る。ダミさんの抑えたパートも効いてる。

フルアルバムである本作はメンバー全員分のソロ曲が収録されていることが大きな特徴になってる。そのどれもが音楽的多彩さを競っていてファンならずとも聞いていて楽しい。ここではイメージ的にロック系でくるかと思いきや意外にも美しい東洋美を表現したシヨン「ENTRACING」を挙げる。

www.youtube.com

そもそもドゥケは2014年デビューのMINXというグループをいったん解体&メンバーを追加して2017年に再デビューしたという経歴や、メタルとKPOPを組み合わせた独自のコンセプト、それを一貫して支える作曲家チームの存在など、語られるべき要素を多く持つグループだった。

そんなドゥケがいま迎えている6年目と言う時期はKPopファンにとって色々と想像したくないことを想像しなくてはならない時期でもある。でも彼女達はファンの懸念を先取りするかのように「Apocalyps:Save us」という全メンバーのソロまで収録したフルアルバムを、新しい3部作シリーズの第一弾として届けた。

ここから伺える用意周到ぶりは、まさに5年前の大胆な再デビューの時に際して見せたものと同じ。多少時間が掛かったとはいえ、着実に人気を高めた末にとうとう「Maison」で音楽番組一位を獲得している今の瞬間はいずれ訪れる必然だったと思える。そしてグループを取り巻く状況が6年目にして依然充実したものであることを予感させる今回のアルバムは、ドゥケのキャリアの重ね方が浮き沈みの激しいKPopシーンにおける一つの理想であることも教えている。

 

PURPLE KISS「memeM」

今年に入ってからは多くのグループが優れたアルバムを発表していて追いかけるのに忙しさを覚えるほどだった。そんな中にあっても特に惹かれたのが、2021年デビューの新人であるPURPLE KISSの三枚目のミニアルバム「memeM」。MAMAMOOを大成功させた事務所が送り出したガールグループであることの意味を全7曲で端的に証明していた。

どれかを選ぶのは難しいけど、とりあえず「私は星だから、勝手に輝いてる」という強烈な自信を表現してわざとらしさがない「Oh My Gosh」と、時に傷つけあいながらも前に進む恋を歌いながら不思議とWeeeklyぽさもある「Hate me,Hurt me,Love me」を推したい。

www.youtube.com

www.youtube.com

PURPLE KISSを他の多くの新人グループと区別するものにゴウン、チェインそしてスワンという強力なボーカルメンバーの存在が挙げられる。3名はその高い実力と優れた音色でグループの名前を外部に知らせていて、ビジュアルメンバーの存在で有名になるより先に実力が評判を呼ぶ辺りにPURPLE KISSらしさを感じる。

そんな3名を筆頭にPURPLE KISSのボーカルの魅力が分かりやすいのがアルバムのラストを飾る「Cursor」。チェインと日本人メンバーの小雪さんが作詞を担当したこの曲は、いつか夢見た自分の理想とかけ離れてしまった現在への失望を歌い、壊れてしまったカーソルのようにどこへ向かうのか分からない未来への不安と共に終わる。

www.youtube.com

この曲を聴いていると、ゴウンの歌声はカンバスに描かれる鮮やかな絵画の質感、チェインのは鋭く輝く宝石の光、そしてスワンは丹念に編まれた織物のきめの細かさを、それぞれ想像させる。

グループとしてはまだ脚光を浴びているとは言い難いけれどPURPLE KISSに世間の評価が追いつく日が来るのは時間の問題、今回のアルバムはそんなことを感じさせる作品だった。