初の音楽番組一位を獲得した前作「秘密庭園」から8ヶ月。
もう新人ではないOH MY GIRLが見せたのは、意外性と共に順調な歩みを強く印象づける、説得力のあるカムバックでした。
都会の夜景を背景にして打ち上げられた花火といった感じで、現代的に洗練されたイメージの強い「花火(Remember Me)」。
これまでツタ模様が似合いそうな、幻想的な雰囲気の中で可愛らしさや美しさを表現し続けてきたおまごるにとっては、ちょっとした転換点にも見えるんですが、きちんと前作「秘密庭園」からの流れを思わせる美しいメロディラインは健在です。
そのサビを担うのはいつも通りヒョジョン、スンヒというおまごるを代表するツインボーカル。更に今作ではそこへユア、ビニという2人がメインに負けない存在感で加わってくる辺り、歌唱力という面で柱が4つに増えたような、グループとしての厚みを感じます。余談ですけど赤髪+緑スカートのビニさん、ディズニーのアリエルっぽい。
そして何より、「Remember me」を聴く人に最も強く印象付けられると思われるのが、ミミさんのラップパート。
ミミさんのラップといえば他のガールスグループ同様に曲の終盤で重要なアクセントとなるような扱いが多く、ポイントでの起用といった性格が強いものでした。更に言うと前作「秘密庭園」ではラップパートそのものが無し。
しかし今作では分量が増えたというだけでなく、ボーカル陣と存在感を競い合うように曲の根幹部分をラップで支えています。このミミさんのパフォーマンスが、これまでのおまごる一連の作品とは違う「Remember me」ならではのオリジナリティを象徴しているといえるかもしれません。
闇雲に新しい要素を外から付け足すのではなく、ミミさんのラップという自分達の武器を「再発見」することで、おまごるの新しい魅力を作り出したという意味で素晴らしい展開だと思います。
そして振り付けの面から見ると今回のハイライトはサビ部分ではなく、このミミさんパートではないでしょうか。ミミさんを中心にした7人が一斉に左右へなびくような動きは本作を代表するようなインパクトがあり、「Closer」以来の伝統を思わせる美しく優雅なおまごるらしい振り付けだと思いました。
ジホ&アリンの2人は分量こそ多くは無いですが、妖しく危険な魅力を鮮烈に表現していてステージの上での存在感を主導しています。あとジホさんの肩出しは個人的に事件でした。
今回の曲を聴いた後、おまごるが8人時代に少女時代の「The Boys」 をカバーしたステージを思い出して、なんとなく懐かしい気持ちになりました。
全員黒の衣装に身を包んで、普段のイメージとがらりと変えた8人のパフォーマンスはインパクトがありましたが、やはり初々しさは隠し切れず、それと比べると今回のカムバックは堂々としたもの。着実な成長を感じさせます。
……とか書こうと思って改めて見返してみると、当時は当時でわりと様になってました。
ちょうど3年前の9月のステージなので、デビューしてまだ4ヶ月。この頃には当然ながらコンセプトとして選びようがなかったシックで大人びた雰囲気を、今ではカムバックのひとつの姿として表現できるようになったんだなと、感慨深い気持ちです。
途中何もなかった訳ではないけれど、グループとしてのあり方・キャリアの重ね方など、やはりOH MY GIRLはKPopアイドルのひとつの理想的な形を示し続けていると、今回のカムバックを見て改めて思いました。