最近、気付いたらすっかりアイズワンのプライベートメールを日々の糧にしてしまっています。スマホの通知音と共にKPopアイドルからメールが送られてくるってひとつの発明ではないでしょうか。
さて、BTSの弟「TXT」やTWICEの妹「ITZY」の発表など、新年早々から大きな動きを見せた1月のKPopシーンを振り返ってみると、今のアイドル界にとって示唆的だなと思わされるニュースがありました。
I.O.I出身キム・チョンハ「音楽中心」で再び1位を獲得!6冠達成 - MUSIC - 韓流・韓国芸能ニュースはKstyle
サバイバルオ-ディション番組「PRODUCE101」のシーズン1から期間限定で誕生し、大歓声の中わずか7ヶ月で解散してしまったアイオーアイ(I.O.I)。
リアルタイムで追っかけていたわけではないんですが、大人気オーディション番組から生まれた期間限定グループの終了とその後の行方という展開には惹かれるものがあり、解散してからもメンバーそれぞれの状況を何となく気にしていました。
そしてグループ解散から2年経った2019年1月、「もう12時」が6冠という結果を出したことで、11人の中で最も成功したメンバーはソロ歌手となったチョンハさんであるという事が明確になったと思います。
アイオーアイ解散後にソロ活動を開始してからミニアルバム4枚を発表しつつ順調に評価を高めてきた彼女の活躍は、むしろプデュ出身という看板が無くても成功したのではないかと思わせるほど文句のつけようがないものでした。
一方で、PRISTIN・クグダン・DIAにWekiMekiなど、アイオーアイで大歓声を分かち合っていたほかのメンバーは、残念ながら現在のグループとしての評価に見合ったそれなりの存在感しか示せていないのが現実です。
この事から分かるのは、デビューの時点で特別の知名度があることは、あくまで一時的に注目を集める助けにはなるけれど、アイドルとしての評価は新たな音楽やパフォーマンスを通して獲得するしかないという当然の事実だと思います。
期間限定の特別なグループでの人気が、のちにそれぞれがデビューすることになるグループへと自動的に持ち越されるわけではないという事実は冷徹であると同時に、KPopアイドル界の競争の真正性を証明しているようにも感じられます。
ただ、チョンハさんとその事務所が素晴らしい仕事をしたというのは事実だと思いますが、その一方でやはりソロとグループという活動形態の違いが現在の結果に影響を与えた面は考えなくてはいけないと思います。
ソロ活動の場合は個人の力量が多くを左右してしまう難しさはありますが、元・大人気オーディション番組出身であるという注目の集め方は、そもそもステージ上で視線を一点に集めるソロ歌手のあり方と非常に相性がいいと思います。
ところがグループになると話が多少複雑になります。
すでに有名な人とそうでもない人、それぞれ知名度に大きな差のあるメンバー同士が混在してしまう状況は、人気メンバー目当てのファンからは他のメンバーがその他大勢に見えてしまい、逆にグループとして応援している人からするとパートや人気が一部メンバーに集中する状況がバランスの悪さとして映る。
つまりメンバー間のあまりに大きな人気の差がファンを混乱させてしまう。そしてこの現象が最もよく現れてしまったのがクグダンだったように思います。
アイオーアイ11人の中でも一二を争う高い人気を誇ったセジョンさんでしたが、元々所属していたグループにおいては、事務所が彼女個人の絶大な人気を含めた上で9人のバランスをどのようにとるのかを試行錯誤し続け、デビューから2年経った今に至るまで結論を出せずにいるように見えます。
これはプデュという大型オーディション番組出演からメンバー個人が得た人気と知名度を、新たなグループの中へどう具体的に組み込んでいくかという問題なのだと思います。
更にそこへアイオーアイ時代の輝きに負けないような楽曲を用意して観衆の大きな期待に応えなくてはならないというハードルも加わるわけで、こうした難題を複数抱える困難さは事務所にとって並大抵のものではないと思われます。
このように元アイオーアイのメンバーのほとんどが苦労を経験する中で、解散当時最も将来有望で苦労とは無縁だろうと思われていたひとりが、当時JYPにいたチョンソミさんではなかったでしょうか。
JYPがTWICEの次のグループを準備していて、彼女がその主要メンバーであるというのは大方の予想でしたし、上で挙げてきたような難しいバランスだってJYPが誇る豪華な練習生との組み合わせでうまく調整できるものと思われました。当然楽曲だって最高のものが準備されていたはず。
しかし結局、彼女はアイオーアイ解散後二年の時を経てJYPとの契約を解除し、新たにYG系のTHEBLACKLABELへと移籍。現在のところ新天地でのソロデビューが濃厚と見られています。
この離別の背景について正確なことは明らかになってませんが、2つのオーディション番組を経て個人的に大きな知名度と人気を得ることになり、現実に幾つものタレント活動をこなしていたソミさんにとって、他の練習生と混ざって2年近くグループデビューを待つという境遇はなかなか難しいものがあったのではと想像します。
ただ結果的にソロになったことはチョンハさんの成功例を見ればわかるように悪い事ではないと思われます。むしろ歓迎すべきことなのかもしれない。
しかしながらプデュ出身の有名練習生がその後、どのようにして新たなグループの中で調和を見せながら「本来のキャリア」を築いていくのかという課題はここでも先送りされることになってしまいました。
結論から言えば、あのJYPでさえも練習生を通してプデュで得た大きな影響力を自社に還元することには失敗したと言えるのかも知れません。
PRODUCEシリーズのシーズン2と3共に、そのJYPを始めとする三大企画社は練習生を参加させませんでした。そこにはスケジュールの都合や、自社の大切な練習生のコントロールを他者に委ねることを拒むような理由もあったと想像されます。
その上、チョンソミさんのようにうまく人気を得たところで結局、自社に利益のない結末を迎えてしまうようなことになるとすれば、今後も他社の大規模オーディション番組への参加を見送る流れは変わらないようにも思えます。
世間ではちょうどプデュから生まれた2つ目の大人気グループ・ワナワンが活動を終え、別々の道を歩き始めたメンバーのこれからに注目が集まっているところです。
現状ではその多くがソロ・もしくはプデュで人気を得た出演者のみからなる少人数グループという選択をしているのは、メンバーの注目度を考えたときにとても賢明な判断に見えます。
チョンハさんの大活躍は2016年から始まった「PRODUCE」シリーズが広げた大きな波紋のひとつの終着点を意味するのと同時に、メンバー個人を通じて得た大きな知名度を新たなグループに浸透させることの難しさまでも対照的に語っているようです。
色々書いてきましたが、こうした難題はアイオーアイ・ワナワンと続いて当然、アイズワンにも関わってくる話でもあります。
気の早い話かもしれませんが、上で書いてきた事を踏まえると、現時点で最も将来有望だと思われるスターシップエンタテイメント所属の若い2人・ユジン&ウォニョンでさえも、もし彼女達を未来のガールグループ結成における中心だと考えるなら、周囲の人々が今から準備しておくべき事は多いのではと思いました。