猫から見たK-POP

ガールグループ中心に思ったこと書いてます。

その空席は誰のもの。EVERGLOW「Bon Bon Chocolat」

PRODUCE48を勝ち抜いて見事アイズワンの一員となったチェ・イェナ。

全参加者の中でビジュアル一位に選ばれるも、意外な脱落をする事になったワン・イーレン。

静かにその美貌と実力を示して終盤まで勝ち残ったキム・シヒョン。

この3名が所属する中国企業ウィエファエンターテイメントがついに3月18日、イェナを除いた上の2人を含む6人組ガールグループ「EVERGLOW」をデビューさせました。

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注目のデビュー曲「Bon Bon Chocolat」は、アメリカの有名作曲家の手による洗練されたダンスミュージックと、音としての韓国語が違和感なく融合した不敵で不穏な美しさに満ちた一曲になっています。

ラップパートも無く、KPopに特有の風情とは距離をとったようにも見える無愛想なメロディながら、韓国語の響きと相まって生まれる独特の魅力が確かにあり、そこにEVERGLOWの独自性が現れているように見えました。

特に終盤、ミアさんから始まる一連のメロディとダンスパートは本作における圧巻の場面であり、KPopにおいて最も不遜で最も美しく、そしてエモーショナルなシーンのひとつだと個人的に強調しておきたいと思います。

もし今の時点で私が今年の新人賞を選べるなら、それは他の誰でもなくEVERGLOWになると思う。「Bon Bon Chocolat」はそれくらいの出来だと思いました。

 

先述した通り、ウィエファは北京に本社を置く純粋な中国企業。これまで韓国でボーイグループをデビューさせたり(あまりうまくいかず)、宇宙少女に中国人メンバー3名を送り込んだり(今のところ中国に戻ってます)とそれなりの実績を積んできた中で、前々から噂だけはあったガールグループがついに姿を現したのがエバーグロウということのようです。

デビュー直後の現在、イーレン&シヒョンの持つプデュ48効果もあってか、日本人が在籍していないにも関わらず日本での注目度も高いようです(Vアプリの国別チャンネル登録者数一位)。

冷静に考えてみると、中国企業が韓国でデビューさせたKPopグループがアメリカの作曲家が作った曲で日本で注目を集めるという、何だかよく分からない光景を目にしている気がします。

 

そのEVERGLOWメンバーは全部で6名。

まずリーダーにして長姉は、Especially for Uという意味の独特な芸名を持つE:Uさん(20)。

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メインダンサーにしてメインラッパー。 本名はパク・チウォン。

金色のロングヘアが視線を惹きつける彼女はウィエファが公開した初の女性練習生だったそうで、上の写真からは想像が難しいですが子供向けの料理番組の初代MCも努めていた経歴があります。ちなみに二代目はチェ・イェナ。

 

キム・シヒョンさん(19)は言うまでもなくプデュ48出身。

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プデュシリーズ初放送となるシーズン1にも無所属として出演経験があり、脱落後に現在の事務所へ移籍。

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韓国公認美人であるmissAのスジさんに例えられる美貌の持ち主ながら、プデュ48においてはそこまで目立つ存在ではありませんでした。しかしあの名高い「Rumor」のステージに立つことでその魅力を広く知らしめることになります。

www.youtube.com残念ながらこの舞台が彼女にとってプデュ48最後の見せ場となりましたが、新たな名曲、新たなメンバーと共に輝いているシヒョンさんを見ると、将来というものは分からないものだと実感します。

あとやはり触れておきたいのは先頃韓国へと活躍の場を移した高橋朱里さんとの関係でしょうか。シヒョンさんが番組の去り際に残した「朱里は初めて出来た日本の友達」という言葉は、PRODUCE48という番組の意義を端的に示すものだったと思います。

 

続いてチームのメインボーカル、ミアさん。

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本名ハン・ウンジ。

シヒョン&イーレンに比べると事前の知名度は高くなかったミアさんですが、ダンス&ボーカルの双方に優れていて、実力面でグループの中心となっています。

新人らしからぬ表情演技の妖艶さはKpopシーン全体で見ても目立つレベルで、一部からはやり過ぎではないかとの意見も。

 

 

オンダさんはサバイバル番組・アイドル学校出身ということで、いわばプロミスナインのみんなやアイズワンのチョユリさんとは同窓。本名はチョ・セリム。

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PRODUCEシリーズを仕掛けたエムネットが送る新たなアイドルサバイバルと期待されながら、成功とは言えない形で終わった「アイドル学校」。

その番組をかなり最初の方で脱落したらしいのですが、このように立派な姿でデビューすることに成功。わりと癖のあるメンバーの中で明るい魅力を発散しています。

ちなみにオンダという芸名はスペイン語の「波」と、韓国語の「来る」という意味をかけたものだそうです。

 

ラテン語で生命を表すAshaと、アジアという2つの言葉を意味する芸名を持つアシャさん。 本名はホ・ユリム。

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JYPでオーディションに受かったことがあり、今に至るまでの練習生期間はなんと9年。そして見る角度によってはあのチョンソミさんと瓜ふたつだということで評判です。

ただそんなことより何より気になるのがその超絶的フィジカル。身長は174とのことですが、そんな数字を上回るインパクトがあります。

 

そしてEVERGLOWの末っ子となった、PRODUCE48のビジュアルクィーン・イーレンさん。中国は杭州出身。

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参加者投票によりプデュ48におけるビジュアルクイーンに選ばれた美貌の持ち主ですが、残念ながら最終メンバーには選ばれず。

そしてEVERGLOWの中心メンバーとなった今、美しくも挑発的な振り付けの多い「Bon Bon Chocolat」においてさえ、彼女の清冽な美の牙城は崩れていないように見えます。

わりとセクシーな動きをしているはずなのにイーレンさんはイーレンさんのまま少しもイメージが揺るがない。これは良い事のか悪い事なのか分かりませんが、そんなところにも彼女の魅力があるのかもしれません。

 

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「Bon Bon Chocolat」と共に鮮烈なデビューを飾ったEVERGLOWですが、高い注目と共に一つの伏線を抱えたグループであることも知られています。

それはつまり、同じ事務所に所属しているIZ*ONE・チェイェナの将来的な合流の有無。IZ*ONEが期間限定であることからくるテーマです。

デビューショーケースの会見でも早速質問が飛び、「そうなったら嬉しいが、自分達で決められる事ではない」というようなことをリーダーが答えていたそうです。

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あくまで個人的な感想として言わせてもらえば、チェイェナが「Bon Bon Chocolat」にあわせて、あの得意げな表情でポニテを揺らしてる姿は想像できます。

確かに普段の天真爛漫な振る舞いとはギャップを感じますが、プデュ48を通してクールでツンツンしたコンセプトに適正を見せて来た彼女の姿を思い出せば、それほどエバグロのコンセプトとの差は感じない。

そして心配される知名度の差やアイズワンというグループの高いクオリティーから来る期待との落差などは、「Bon Bon Chocolat」のステージをみればEVERGLOWに限ってそんな懸念は無用だとも感じる。

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しかしそうは言っても、やはり簡単には行かないだろうというのが正直な気持ちです。

そこには少し先のことさえ確かではないKPop業界の激しさという一般的な理由もありますが、それよりも途中合流という展開の難しさ・予想のつかなさに関係するところが大きい。

具体的に言うと、アイズワンのイェナという成功したアイドル個人と、EVERGLOWが順調に勝ち取るかもしれないグループとしての存在感が綺麗にタイミングを合わせてひとつになれるだろうかという不安です。

似たような話としてはプデュシーズン1の時のヨンジョン&宇宙少女というケースで成功例があります。ただこの時でもデビューと合流の時間差は半年。アイオーアイが短期間で解散してしまったことも結果的に両者にとって良い方向へ働いたと思います。

しかしIZ*ONEの活動期間は二年半。そのうち専任期間とされるのが一年半。

両者が共に別々の道を歩む期間が長いほど、そして互いに成功すればするほど困難さが増す可能性はあります。個人とグループ、それぞれについたファンから色々な意見が飛ばされるだろうことはおそらく必然です。

思えば、今を時めくTWICEにはかつてデビュー直後からチョンソミさん合流説という、一部ファンの願望に支えられた噂が付きまとっていました。EVERGLOWとイェナの関係は両者の注目度の高さから考えると、そのような想像上の展開を現実のものとして考えなければならない難しさの方に近いような気がします。

成功すればするほどに、期待と不安が同時に高まっていく。EVERGLOWはそんな不思議な性格を持って誕生した稀有なアイドルグループなのかもしれません。