猫から見たK-POP

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Kep1er「Shooting Star」で思い出す

 

Kep1erの「Shooting Star」が6月3日に公開された。初の正規アルバム「Kep1going On」からのタイトル曲で、9人体制として最後の活動曲。期間限定グループとしては珍しい活動延長に成功したKep1erの節目に相応しい曲になっていて、途中様々な評価が入り混じることもあったグループのキャリアを美しくまとめ上げている。

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Kep1erのキャリアについては、かつてI.O.IやIZONEを生んだエムネットのサバイバルオーディション番組の流れを汲むグループとして、期待されたような結果が出なかったという評価がある。CD販売数を始めとする各種数字を見ればそうした見方も一理あるけれど、このグループを取り巻く特有の事情もあった。

例えばKep1erを生んだオーディション番組「Girls Planet 999」は、不正騒動により「PRODUCE」シリーズという超人気番組を失ったエムネットの新たな挑戦として始められた経緯があった。

しかしいまだ騒動の記憶が鮮明な中では有名な芸能企画社からの参加者は少なく、従来シリーズのように各社からスター練習生が参加して注目を集めることもなかった。それに加えて韓中日から大々的に参加者を募るという野心的な番組の方針もあって、通常よりも番組進行が複雑になった。そこへ視聴者参加型オーディションの宿命としての選出メンバーへの異論なども加わり、Kep1erは船出の直後から波乱含みだった。

 

デビュータイミングの不運もあった。エムネットの大型オーディション番組の先輩であるIZONEは当時としては記録的な好成績を収めたけれど、これはグループの類まれな魅力に加えて、3.5世代に当たるタイミングにデビューしたことで同期のライバルが少なかったという状況が寄与した面もあった。

しかしKep1erの場合、まさにガールグループ第4世代の熾烈な競争の真っ只中にデビューしたことでIVEやLE SSERAFIMそしてNewjeansと言ったビッグネームと正面から競い合うことになり相対的に注目度が落ちる結果に繋がった。

こうした事情を考慮するとKep1erは2年半でそれなりのキャリアを送れたと思うし、元々東アジアにまたがるガールグループを目指して結成された経緯を思い出せば、日本で人気を得たことはグループが持っていた目的も達成できたと言えるのではと思う。

 

そんなKep1erはエムネット発のオーディショングループとして初めて活動期間の延長に成功した。ただしそれが7名体制に再編しての延長である点でファンの間に受け止め方の差が生まれていた。

ただ少なくともKep1erが9人体制の最後にコンサートという最高の形でファンの前に立てるというのはとても素晴らしいことで羨ましいと思う。WIZONEをやっていた自分が思い出せるIZONEのラストシーンと言えばコロナ禍の真っ只中、静寂に包まれたスタジオに響くメンバーの嗚咽という光景だった。状況を考えれば仕方のないこととはいえ、その衝撃のせいであの場面を除いたラストコンサート全体の記憶もどっかいったまま。

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「Shooting Star」に触発されて最近よく「Panorama」を見返す。改めて見ても素晴らしいグループだったと思いつつ、新たな環境で日々活躍するメンバーを眺めていると、同じ人物でもグループという器が変わればアイドルとしての輝き方もまた変化することも実感する。IZONEの一員であった限りで放たれていた特別な光彩というのがある気がして、もうあれから3年以上経つのかと思ったりもしている。